舞台裏に迫る

「キッズ・ウォー」の舞台裏を知るべく、2019年11月13日に浩役の金澤匠さんへインタビューを行いました。
さて、一体どんなエピソードがあったのでしょうか?
オーディションでの話、もう一度行きたいロケ地など、色々なことを聞きました。

子役を始めたきっかけは?

探索隊長:(以下「隊長」)
今日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。
早速ですが、金澤さんは「キッズ・ウォー」放送当時、劇団日本児童に所属してらっしゃいましたが、劇団に入ったきっかけは何ですか?

金澤さん:(以下「金澤」)
もともと親が色んな事やらせてくれてたんですよ。
劇団に入ったのが3歳だからほとんどに記憶ないんですけど、子役のオーディションの広告が新聞にあって、親が「これやってみる?」って言って、自分が「やりたーい!」って言ったらしいんですよ。
小さい頃だったので、それがきっかけですかね?

隊長:
子役でやった一番初めの作品は何ですか?

金澤:
CMなんですけど、100本以上やってると思うんです。
大きい会社のやつだと、ディズニー、アデランス、湖池屋とか出てました。
子役だからコマーシャルがとにかく多いんですよ。
事務所に入ってからは4年近くミュージカルだったんですよ。
「34丁目の奇跡」っていうミュージカルずーっとやってました。
あとは「ホーホケキョ となりの山田くん」の吹き替えとか。
吹き替えをやることが多かったですね。

隊長:
すごいですね!キッズ・ウォー以外にもいろいろ活動してたんですね。

金澤:
ラジオのコマーシャルやディズニーの吹き替えとか多かったですね〜。
「101匹わんちゃん」の吹き替えもやっていたんですが、101匹いるから、その分だけ子役が必要でした(笑)

隊長:
どのわんちゃんが金澤さんか見てもわからないですね(笑)

オーディションで同じ組だったのが・・・

隊長:
「キッズ」のオーディションは劇団から案内があったのでしょうか?

金澤:
そうです。
あれは結構大きなオーディションでした。
事務所の偉い人が一緒についてきてくださって、赤坂でやったのかな?
都心の方でオーディションやりましたね。
3次審査くらいまであったと思います。

隊長:
何人くらいオーディションにいましたか?

金澤:
最初は浩役で入ってきたのが何百人もいましたね。

隊長:
そんなにいたんですか!?

金澤:
そうなんです。審査がだんだん進んで行くと、TBSの人とか、偉い人がたくさん来るんですよ。
他のオーディションと違うなっていうすごいピリピリしてました。
一緒に来ていた自分の親もそう言っていましたもん。

隊長:
いかに大事な役のオーディションだったかがわかりますね。
浩くん誕生まであと少し!ぜひぜひ続きをお願いします!

金澤:
最後の方まで残ると演技の審査で出演者を決めるんです。
台本を渡されて同じ組の人と演技してくださいって。

隊長:
それで、同じ組の人はどんな人だったんですか?

金澤:
その時同じ組だったメンバーがたまたま「真央ちゃん、小谷君、真汐ちゃん、自分」だったんですよ!

隊長:
つまり、ドラマと同じ茜、健一、里香、浩ということですね。
同じメンバーだったなんて、すご~い!

金澤:
その4人でやったらもうカッチリはまっちゃって、そのメンバーのまんまポンと出演が決まったんですよ。

隊長:
審査の中で演技している時に何か感じたことはありましたか?

金澤:
4人で合わせてみて、「あっ、このメンバーで決まる」と思いました。

隊長:
じゃあ、本当にぴったりだったんですね、その時の4人が。

金澤:
そうだったと思います。
「やっぱりこのメンバーで決まるって感じたよね。」ってみんな言ってました。
真央ちゃんたちと顔を合わせたのもオーディションが最初なんですよ。
よっぽどお互い相性が良かったと今でも思っています。

もう一人の浩役候補

金澤:
実は僕ともう一人浩役の候補の子がいたんですよ。

隊長:
そうなんですか!?どんな人でしたか?

金澤:
自分はぽっちゃりしてて、もう片方の子は真面目そうで結構やせてたんですよ。
浩ってパート1の設定だと真面目な秀才じゃないですか。
だから、その子の方が浩に合ってたと思うんですよ。
でも、ストーリーが進んでいくと反抗したり、やんちゃになったり。
あとはご飯いっぱい食べるとか浩はしますよね?

隊長:
確かに浩は食卓でもバクバク食べてましたね。
春子さんに何回「おかわり!」と言ったことか(笑)

金澤:
脚本家の畑さんはよく現場に来て、「食べてるか、浩?」なんて言ってましたね。
あと、「浩は太ってないと意味がないんだ。」とか。

隊長:
やはり、畑さんの中でも「食べる浩」だったんですね。
パート1はそうでもないですけど、3あたりからぽっちゃりしてたような・・・。

金澤:
どんどん大きくなってましたね(笑)
でも、そういう後付けでできた設定っていうのは、金澤匠が浩を演じたからだと思うんですよ。
だから、もう一人の子がもし浩を演じていたとしたら、あの食いしん坊の浩にはなってなかったかもしれないですね。

隊長:
まさに「金澤匠にして浩あり!」っていう感じですね。

金澤:
最後までどっちを採るか残ってたらしいんですよ。
事務所の方が「浩にピッタリなのは金澤君だね。」って推してくれたんです。
後でプロデューサーさんから聞いた話ですけど、どちらの子を採っても正解だったそうです。
でも、浩のキャラを考えると、やっぱり金澤君採って正解だったねと言ってました。

事務所の中で有名に!

隊長:
やはり、あれだけヒットしたドラマに出ていたのですから、事務所の中でも金澤さんを見る目が変わったのではないでしょうか?

金澤:
「キッズ」とだいたい一緒になるのが「大好き!五つ子」なんです。

隊長:
あ~、懐かしい~!
「五つ子」も大好きで夏休みに見てました!

金澤:
「五つ子」に出てた子が同じ事務所で、すごい仲いい子だったんですよ。
それで、「キッズ」と「五つ子」のパンフレットやポスターがしばらくデカデカと貼りだされて、自分やその子の名前が出てたんです。

隊長:
「キッズ」と「五つ子」の2作品は視聴者にとってもセットですよ。
1時からの「五つ子」、1時半からの「キッズ」という流れでしたから。

金澤:
それで事務所行くと、「あっ!キッズ・ウォーの金澤君だ。」って言われるんです。
急にそこからパッて有名人に変わった瞬間というのがありましたね。
確かパート2の時だったかな?もうそうなったとたんに扱いが変わりました。
あと、子役として活躍してる人が先生役で後輩を教えるというものしてました。
パート4や5の頃は先生として教えるのもやってたんですよ。

隊長:
そんなこともしてたんですね!
いや~やっぱり有名になると違いますね。

世代を超えて愛される作品

隊長:
自分が小学生の頃、母親が「五つ子」と「キッズ」を見ていて、それを横で一緒で見ていたのが作品を知るきっかけだったと思っています。
初めは主婦向けのだったのが子どもたちにすごい人気になるって、そんなドラマなかなかないですよね。

金澤:
子どもが学校に行ってる間に主婦が見るドラマで作ってるのに、子どもたちが録画して見てることがスタッフの人たちにとって衝撃だったみたいです。

隊長:
つまり、大人向けに作っていたドラマが子どもたちにウケたってことですね。

金澤:
そして、シリーズを重ねるごとに子どもが興味を持つ内容にシフトして、パート3が大ヒットして夏スペシャルをやったのがその典型的なものですね。
子どもたちが楽しみにしてる「キッズ」のスペシャル版を作れたのも、子どもたちが支持して、作品を見ていたというのが大きいと思います。

隊長:
毎年やっていて、自分もキッズたちも学年が上がっていくから、子どもにとっては作品がより身近なものに感じられますよね。
クラスメートの多くが「キッズ」を見てましたから。

金澤:
ドラマと子どもたちが一緒に成長していくんですよね。
子どもってドラマから色々な影響を受けやすいから、ずーっと作品が記憶に残ってたりだとか、いまだに自分の子ども時代の思い出のひとつになってくれてるっていうのが、やっぱり「キッズ」が他のドラマと違う所ですよね。

隊長:
親子で見る昼ドラって、そう多くないと思います。
親子で見ると言えば、金澤さんもtwitterでご存知だと思いますが、クリームソーダさんっていらっしゃいますよね?

金澤:
あー、知ってます知ってます!
あの方はブレスレットをオーダーしてくださいました。

隊長:
その方に一度会いに行ったことがあるんですよ、飛行機に乗って。
「キッズ」が大好きな方で、3時間くらい話をしましたね。

金澤:
そうなんですか!!
クリームソーダさんの娘さんが小学生で、「キッズ」大好きで一緒に見てるらしくて、20年近くも前の作品見て大好きになってくれるなんてすごいな~って思います。

隊長:
まさに世代を超えて愛される「キッズ」ですね!

金澤:
その子に「浩より」って書いてキーホルダーを作ってあげて、ブレスレットと一緒に送ったら、もう「会いたい会いたい!」ってすごかったらしいです。
そんな風に喜んでくれてるなんて、本当にうれしいですね。

遅刻理由「キッズ・ウォー」

隊長:
クリームソーダさんはホントにドラマの細かいところまで知っていますよ。
小道具とか衣装とか、実際にメルカリなどで探してらっしゃいますから。
自分が「ロケ地探索隊長」なら、クリームソーダさんは「小道具・衣装探索隊長」ですね。
自分はロケ地探せても小道具とか衣装は探せないな~。
再放送を録画して何度も見ているとお会いした時に聞きました。

金澤:
再放送も結構してますもんね。
ネット系とか有線だとかそういうのでも結構やってるらしいですね。

隊長:
自分はいつもHuluで見てるんですよ。
電車の中でも通勤途中でも。

金澤:
すごーい!

隊長:
実は先日、会社行く時に駅で電車待ってる間、ホームのベンチで「キッズ」見てたんですよ。
そしたらですね・・・。

金澤:
そしたら・・・?

隊長:
乗るはずの電車が来てるの気づかなくて行っちゃって・・・。
次の電車待つよりタクシーの方が早いと思って、会社までタクシーで行ったんですよ。
ですけど・・・、10分遅刻・・・。

金澤:
ハハハハハハ!!
遅刻理由「キッズ・ウォー」(笑)すごいな(笑)

隊長:
まあ、実際は時間休暇を当てて、遅刻にはなってないんですけどね。

金澤:
今は出先でもスマホで見れるようになって、すごい時代ですよね。
自分はよくTwitterで「キッズ・ウォー」って入れて、エゴサーチしてるんですよ。
で、何々でキッズ・ウォー再放送やってるだ何だっていうのが出てくると、「これでもやってるんだ、あれでもやってるんだ」って思ってます。
そうやってまだ数字持ってるなんてすごいですよね。

台本の覚え方は?

隊長:
さて、いよいよ「キッズ」の舞台裏を本格的に伺いたいと思います。
まず、台本ですがどのように覚えていましたか?

金澤:
台本は撮影が始まる半年くらい前に郵送で送られてくるんですよ。
僕の場合は届いたらまず読んで、始まりと終わり、ストーリーの流れを理解しました。
あとはひたすら毎日読みます。セリフは覚えようとして覚えるんではないんです。
台本を繰り返し読むうちに自然と頭に入るんです。

隊長:
セリフが自然と頭に入るとは!
素人にはなかなか想像できないです。

金澤:
セリフが頭に入ったら自分のセリフにマーカーを引きます。
あとは前後のつながりや、浩の発言を理解するためにとにかく読んでましたね。
台本がビリビリになって全部丸暗記するくらい読み込んでいたのを覚えています。
真央ちゃんは現場に台本を持って入りませんでしたね。

隊長:
台本は覚えるつもりで読んでいるというわけではないんですね。
学芸会で自分のセリフだけ覚えようとしていた自分とはレベルが全然違いますね。

金澤:
自分の出てる所のセリフだけ覚えて演じるのって誰でもできるから、そういうのは絶対にするなって子役の養成所の頃から習うんです。
どうしてでそのセリフを言ってるのか、演じる時にただしゃべって棒読みでしゃべっても、作品を見てる人は何も感じないよっていうのをとにかく言われました。

隊長:
確かに子役でも大人の俳優でも視聴者がどう感じるかが大切ですからね。
ドラマを見ていると自分が出演者だったらいいな~と思う時もありますが、実際に演じるとなると結構奥が深く、訓練を受けないと難しそうですね。

隣のホテルだったら・・・

隊長:
「キッズ」の撮影は名古屋で行われましたが、撮影中はどのあたりに滞在していたのでしょうか?

金澤:
CBC(中部日本放送)の近くのホテルプリシード(現、ベストウェスタンホテル)にみんな泊まっていました。
そのホテルの隣にある東急ホテルの外観が豪華で、そっちに泊まれるんじゃないかとみんな期待していたんですけど、実際はそうではなかったという・・・(笑)。

隊長:
いや~、本当に泊まれたらどれだけよかったことか!

金澤:
この話はみんなが集まると今でも話題に出てきますね(笑)
あと、プリシードの地下にあった和食屋さんがとてもおいしかったのを覚えています。

隊長:
さすが、浩くん!食べることはよく覚えていますね(笑)
でも、20年近く前のことをよく覚えているということは、それだけ当時の日々の出来事が印象に残っているということですよね。

金澤:
あとは、CBCの食堂でご飯を食べることも多かったのですが、「氷コーヒー」がおいしかったですね。
凍らせたコーヒーにミルクをミックスさせて飲むんですよ。

隊長:
「氷コーヒー」知ってます!
真央ちゃんがMyojo(2002年11月号)のインタビューで好きだって言ってました。
自分も飲んでみたいな~。

みんな気になる今日の「消えもの」

隊長:
今井家の食卓にはさまざま料理が並びますが、どれも美味しそうです。
特に美味しかったものは何ですか?

金澤:
撮影で食べる料理を「消えもの」って言うんですけど、自分は唐揚げとエビチリが好きでした。
CBCの消えものはとにかく美味しいんですよ!

隊長:
ちなみに、撮影で朝・昼・晩と消えものを食べてる時もあるんですか?

金澤:
何回もありますよ。
食事シーンの撮影で消えものをいっぱい食べて、ご飯いらないっていうのがよくありましたね(笑)

隊長:
撮影をしていると、今日の消えものは何だろうとか気になりませんか?

金澤:
CBCは1階にスタジオが2つあるんです。
大道具さんたちが片方のスタジオで家のセットを作って、その隣のスタジオでスタッフの方が食卓に並べる料理の準備をしてるんですよ。
本番前の合わせとかで控室からスタジオに入ると、隣から料理の匂いが来て、「今日の消えものは何だろう?」ってみんなと話してました。

浩くんの初シーンは?

隊長:
やっぱり、視聴者として気になるのがどのシーンを初めに撮影したかなんです。
金澤さんが「キッズ」で撮影した最初のシーンは何ですか?

金澤:
たぶん最初ロケやったのかな~?

隊長:
おっ、ロケですか!
ロケ地探索隊長としてどのシーンか気になります!

金澤:
茜がね、トラックから降りてくるシーンが初めての撮影だったんですよね。

隊長:
あー、分かります分かります!
1話の最後の方ですよね。

金澤:
で、茜がバッグしょってて健一くんと里香ちゃんと3人で「何だー、あいつは!?」みたいな感じで。
あれも名古屋市内ですよね?

隊長:
そうです!
そのシーンは天白区の表山という所がロケ地なんですよ。
たぶんこの写真をお見せすれば分かると思います。
地図を見た後に茜が今井家に向かって歩き出す場面!

金澤:
そこだ!そこそこそこ!!
この先に行くと交差点があって・・・、覚えてる覚えてる!!

隊長:
茜が見ていた地図もまだありましたよ。
あと、浩たちがいた交差点を反対から見るとこんな感じですね。

金澤:
あっ、そうだそうだ!
この交差点は横に道路があって、確かにここで撮ってた。
覚えてる覚えてる!

隊長:
自分はこの町に3回行きましたね、名古屋に行くたびに(笑)
3回も行くと地図がなくても行けるようになりました(笑)
周りの家が新しくなるなど、当時と比べると少し風景が変わりましたね。

金澤:
いや~、オレも行ってみたいな~。

隊長:
この町は名古屋中心部からは少し遠いですが、駅から歩いていけますよ。
思い出の場所にもう一度行くと、当時の様々な記憶がよみがえってくると思います。

もらいものが多い

隊長:
空き時間にスタッフの方と遊んでもらっていたそうですが、どんなことをしていたのでしょうか?

金澤:
特に大道具さんや小道具さんのところにいつも行ってましたね。
長い日だと4時間とか5時間とか待ち時間があるんです。
大体他の人はどこかに時間潰しに行ってたんですけど、昔は今みたいにスマホがないから、なかなか時間潰すのが大変で・・・。
自分はとにかくもうじっとしてられない子どもでした。
椅子の前でおとなしく待ってるなんてできなかったんで、スタッフさんの所へ遊びに行ったりだとか、だいたいどっか行ってちょっかい出しに行ったりしてたかな~(笑)

隊長:
ちょっかいを出せるくらいみんな仲がいい現場だったんですね。
もっと詳しく聞かせてください!!

金澤:
とにかく大道具さんの仕事してるのが見てるのが好きでした。
みんなが金づちとか使ってあっという間にセットを作っていくんですよ。
そういうのを見てて、いろんなこと教えてもらいましたね。
「浩、将来大道具なるか?」って言われて、「なるー!」って大道具さんに言ったのを覚えています。

金澤:
あと、スチールさんっていうカメラマンの人がいるんですよ。
広報用に使ったりするために現場の様子の写真撮ったりとかするんです。
その人から写真もらったりとかしてましたね。
自分は電車が好きだってスチールさんに話をしたら、電車の写真持ってきてもらったりとか。
あとは、釣りも好きだったんです。
音声さんで1人釣りが好きな人がいて、その人からはバス釣りのルアーをもらったこともあります。

隊長:
共演者だけでなく、スタッフの方とも深い関わりがあったということですね。

金澤:
あと、糸が出るスプレーをシューってやるシーン分かりますか?
茜といじめっ子を退治するシーンなんですけど・・・。

隊長:
分かります!パート1第17話ですよね?
茜が「浩、どっからそんなもん持って来たんだ?」
みたいなこと言いますよね?

金澤:
あの場所も何回か撮りに行きましたね~。
撮影の時に暑かった記憶があるな~。

隊長:
その場所も行ってきたんですよ。
当時とあまり変わってませんが、こんな感じだったと思います。

金澤:
あ~、なんとなく覚えてる。
ドラマで使ったスプレーでスタッフの方とも遊んで、いっぱいもらって帰ったりもしました(笑)
スタッフの方とは本当に仲が良くて、犬までもらったんですよ。

隊長:
犬!?すごいものをもらいましたね!

金澤:
つい先日(※)死んじゃったんですけどね・・・。
(※)このインタビューは2019年11月13日に実施

隊長:
そうなんですね・・・。でも、かなり長生きしたんじゃないですか?

金澤:
実はその犬、撮影に使ったワンちゃんの子どもなんです。
悪ガキが川に犬を投げるシーンがあって・・・。
それで茜が助けに行った白黒の犬いましたよね?

隊長:
それってパート2で翼が川に投げていた犬のことですね。

金澤:
その犬はメイクさんの犬なんです。
撮影に使うためにメイクさんが連れてきて。
もう犬が来たから自分うれしくてずっと遊んでましたね。

隊長:
まさかメイクさんのだったとは!驚きました!

金澤:
あと、白黒の子から生まれた真っ白の子がいたんです。
その子がスタジオに来たときはみんなでかわいがりましたね。
そしたら「浩、1匹いる?」って言われて、真っ白い子をもらってずっと飼ってたんです。

隊長:
ということは、名古屋から家まで犬を持って帰ったってことですか?

金澤:
そうそうそう!
ゲージに入れて新幹線で持って帰りました。
東京駅で犬と一緒にお母さんが迎えに来るの待ってる時、ケージの中に手を入れて触ってましたね(笑)

電車で気づいたら・・・

隊長:
新幹線と言えば、だいたい東京から名古屋だと2時間くらいかかりますよね。
頻繁に名古屋に行くと移動が大変と感じる時もあるのではないでしょうか?

金澤:
そうなんです。
朝早く家を出て名古屋に行く時もありましたね。
次の日から撮影で、前日に名古屋入りする予定だった時のことですが、
中央線の豊田駅から東京駅に行って、新幹線に乗る予定だったんですけど・・・。

隊長:
もしかして途中で何かトラブルが・・・?

金澤:
実は東京行きの電車に乗ったら寝ちゃったんですよ!朝早いから。
気づいてパッって起きたらまだ電車乗った駅にいたから、「あっ、まだ電車出発してないんだ。」って思ったんです。
でも窓の外を見たらもう夕方だったっていう事件がありました(笑)

隊長:
ということは、電車が何往復も走っている間ずっと寝てたってことですね?

金澤:
起きて携帯電話を見たら、寝ている間にお母さんから何件も着信入ってましたね。
まだ、外が薄暗くなっている状況が理解できなくてお母さんに連絡したら、「今どこにいるの?まだ豊田駅!?何やってんのあんた!」って(笑)
デスクの人からは「東京駅に着いたら連絡しなさい。」とか言われてたんですけど、もちろん連絡できてないわけで、うちのお母さんに連絡が行ったらしいんです。

隊長:
浩から連絡がないってことでスタッフの方は心配してたんじゃないですか?

金澤:
CBCの中は「浩がいない!」って大騒ぎになっていたらしいです。
それで、新幹線はとっくに行っちゃってるからもう乗れないんですよ。
だからデスクの人が東京駅まで迎えに来てくれて、大変な事態でしたよ。

隊長:
でも、次の日からの撮影だったから、撮影に影響がなくてよかったですね。

送ってもらえば・・・

金澤:
あとはね~、「家に帰れなくなっちゃった事件」というのがあるんですよ。

隊長:
帰れなくなっちゃったんですか!?
いつ頃のことですか?

金澤:
パート2か3の頃だったと思います。
撮影が終わると、だいたいいつも真央ちゃんと一緒に名古屋駅行って、東京駅まで一緒に新幹線で帰ってたんですよ。

隊長:
真央ちゃんと一緒だったんですね。
真央ちゃんも一人で帰っていたんですか?

金澤:
真央ちゃんはだいたいお母さんかマネージャーさんが付き添ってました。
自分は一人だったんで、真央ちゃんのお母さんと一緒に3人で帰ったりとか、あとは真汐ちゃんと一緒に帰ったりとかしてたんです。

隊長:
ここから、どんな風にして帰れなくなっちゃったのか気になります。
続きをぜひぜひ!!

金澤:
名古屋から新幹線に乗って東京駅に着いたんですけど、すぐ乗り換えないと終電行っちゃうっていう時間だったんです。
だから、真央ちゃんのお母さんに「家の近くの駅まで送ってこうか?」って言われたんですけど、「大丈夫だよ。」って言ってその時は別れたんです。
それで、弟がそのころまだ5歳とか小っちゃかったから、もう弟をかわいがってかわいがってしょうがなかったんです。
それで名古屋から帰る時、必ず弟にお土産を買って帰ってたんですよ。

隊長:
弟がいらっしゃったんですね!
ドラマの中では末っ子ですが、家では優しいお兄さんですね。

金澤:
その時もお土産買ってってあげようと思っていろんなお店入ってって、「これいいな~、あれいいな~。」って選んでたら、色んなお店が閉店時間になってどんどんシャッターを閉めてったんです。
だから、急いでお土産決めてそれを買って、いつもの通りにホームに出たら、「ヤバイ!電車がない!」ってなって・・・。

隊長:
終電ギリギリなのにお土産を選ぼうとするのがすごいです(笑)
自分なら弟に「ごめん、時間なくて買えなかった」って言いますね。

金澤:
それで東京駅で取り残されて、お母さんに電話して助けを求めましたね。
「ねえ電車なくなっちゃった・・・。家帰れない、どうしよう。」って。
そしたら「何やってんの!」って怒られましたね(笑)
結局、東京駅まで車で迎えに来てもらったっていう事件がありましたね~。

隊長:
真央ちゃんのお母さんに送ってもらっていたら、家に帰れたかもしれませんね。
どこかに行こうと思ってもなかなかうまくいかないですね(笑)

金澤:
そう!回り道多いんですよね~。
いつも道草食ってて・・・。

撮影はとにかく朝早い!

隊長:
ところで、集合時間や撮影のスケジュールは誰が決めているのでしょうか?
ロケをする日でもスタジオで撮影する日でも一度CBCに集合なんですか?

金澤:
そうです。
デスクさんっていうスケジュール管理をする人がいます。
新幹線やホテルの手配とか全部やる人がいるんですけど、その人が自分のお母さんがわりだったんですよ。
もう自分は時間も守らないし、やんちゃであっちいったりこっちいったりして、行方不明になるから「浩、今どこにいるの?浩?浩!?」ってよく言われました(笑)
「浩、帰る時は何時の電車に乗るか分かる?覚えてる?言ってみなさい」って、毎回そんな感じだったんですよ。

隊長:
全体のスケジュール管理、しかも小中学生をまとめるとなると大変そうですね。

金澤:
一日の始まりは朝にデスクさんにあいさつするところから始まります。
その日のスケジュールがバーッって書いてある紙があるので、「入り時間」を確認してそれまでに集合すれば大丈夫です。

隊長:
撮影の時は朝早そうですね。
早いと何時集合だったんですか?

金澤:
とにかく撮影は朝が早くて、7時集合とかよくありました。
ホテルの人に部屋に電話かけて起こしてもらったこともありましたね。
一人で朝早く時間通りに起きて現場に入ってっていうのは結構大変でした。
特に最初の1か月、1か月半は撮りためるので時間に余裕があるんですけど、ある程度経つと放映が始まって、テレビで放映しながら撮っていくんですよ。
で、その後はもうとにかく時間に追われました。
だから、だんだんスケジュールがきつくなってくるんですよ。
1週間のうち4日とか5日は名古屋にいるとか多かったですね。
そういう時は学校に行けないので、学校休んで撮影に行ってました。

隊長:
本当に「時間、命!!」の現場だったんですね。

思い出&おすすめのロケ地

隊長:
ドラマの撮影にはロケはつきものですが、ロケの時はスタジオ収録以上に時間に追われると思いますがどうでしたか?

金澤:
ロケの時って朝早いんですよ。
日が昇ってるうちに撮らないといけないから。
早いと朝7時前くらいからロケやってたかなぁ?
設定の気候によっては洋服のつながりがあるから、半袖でやるんです。
だから、寒い時はみんな始まる前までジャンパー来てましたね。

隊長:
思い出のロケ地ってありますか?

金澤:
とにかく記憶にあるのは河原のシーン。
あそこにはよく行きました。
ロケの中でも使った時間けっこう長い場所ですし。河原のシーンは通学してる子の役も必要で、ロケに行く人数も多かったですね。

隊長:
「キッズ」ファンの人にロケ地を1か所勧めるとしたら、どこですか?

金澤:
それもやっぱり登下校で使った河原ですね。
あそこはオープニングを撮った場所でもあるんですよ。

隊長:
そうですよね~。
パート1・3・4・5のオープニングは河川敷が出てきますもんね。
自分がロケ地に行った時は色々なシーンが思い出されて感動しました!

どこからか情報が・・・

金澤:
実は、ロケができなくなった時があるんです。

隊長:
えっ?ロケ中止!?
そのわけが気になります!

金澤:
シリーズが進むとロケの場所と時間をどこからか仕入れて見に来る人がいるんですよ。
スケジュールが漏れてるぞって話になって・・・。

隊長:
それは、たまたま近所の人がロケを見たのではなくてですか?

金澤:
ロケの場所と時間がネットでバレてたらしいです。
実際に撮影のためにロケ地に行くと、人だかりになってました。
それで、何回かロケができなくなったときあるんです。
そういうときは別の日に変更してロケをしてましたね。

隊長:
しかし、スケジュールが漏れてたとは・・・。
河川敷はロケを見に来てる人結構多かったですか?

金澤:
メッチャメチャ多かったです!
多いと300人くらいいました。

隊長:
300人!?
小学校の全校生徒っていうレベルですね。

金澤:
もう、ロケバスから出て来ると、もう囲まれちゃうくらいでした。
ロケバスが来たのがバレたら大変なことになっちゃうんです。
だから、近くの駐車場や人気の少ない所に停めて、そこからジャンパー着て隠れながら現場入りしてました。

隊長:
逆に目立ちそうですけど・・・(笑)
翼がロケバスから降りると大変なことになったらしいですね。

金澤:
ロケ地に着いたらすぐ撮影できるようにしないと、人が集まって来ちゃうんです。
すごいことになりましたよ、翼や一也が来ると。
とにかく大変でしたね、ロケのときは。
茜だったらもうとんでもない事態です。
自分の時は「浩だー!」なんて聞こえてきましたね。

隊長:
ギャラリーが多くなるとその対応にもやはり追われますよね?

金澤:
とにかくもう時間との戦いでした。スタッフの方も人払いがもう大変で・・・。
日が沈んで来ちゃったら、撮影できないですし・・・。
大体同じ場所でロケするので、分かっちゃうんですよね~。

隊長:
スペシャルやファイナルでロケをした長野や沼津も見物人は多かったですか?

金澤:
あまりいなかったですよ。
たまたまロケを見かけた人が来るくらいでしたね。
でも今だとTwitterがあるから、すごい拡散されそう。

隊長:
自分は収録が終わった「キッズ」のロケ地紹介をしていますが、収録中のドラマだったらあっという間に拡散されてしまいそうです。

一番怖かったのは羽根

隊長:
引き続きロケに関することを聞かせてください。
以前、peingで印象に残っているロケ地として、夏スペシャルで使われた廃校を挙げていただきました。廃校では心霊現象とかありましたか?

金澤:
あの廃校は本当の廃校を使っていたんですけど、怪奇現象は特になかったですね。
でも、キャンプに来ているみたいで面白かったです。

隊長:
健一は廃校の撮影で何か霊を感じたらしいですが、金澤さんは廃校の中で怖かったと感じませんでしたか?

金澤:
実は、一番怖かったのが廃校よりもバドミントンの羽根なんですよ。

隊長:
バドミントンの羽根?
それはどういうことでしょうか?

金澤:
撮影の合間にみんなでバドミントンをしてたんです。
(翼役の)祥太くんがバドミントン部だったのですごい上手だったんですよ!
それで祥太くんが打った羽根が自分の顔にバチーンって当たったんです。

隊長:
痛そうですね・・・。
大丈夫でしたか?

金澤:
目が腫れたら、撮影の時に顔が変わって前後のシーンがつながらなくなっちゃうので、すぐ病院に連れて行ってもらいました。
それが一番怖かったことですね。

隊長:
でも、大事にならなかったようでよかったです。
実はロケで使われた廃校ですが、もう取り壊されてしまったんです。

金澤:
わっ!ない!!

隊長:
でも、廃校の隣にある建物はまだありますよ。

金澤:
そっちはみんなでカレー食べるシーンだとか、控室でずっと使ってたんですよ。
前田愛ちゃんとか一緒に撮影しましたね。
懐かしいなぁ。

点滴だけはイヤ!!

隊長:
「キッズ」の撮影は夏が多かったと思いますが、外が暑い中での撮影は大変だったでしょうね。

金澤:
結構暑かったですね~。
気温が40度近い時もありました。
一度、ロケに行った先で熱中症になったことがあるんです。
浩が万引きした時計を返しにお店に行って土下座するシーンの撮影の時に。

隊長:
ありましたね!
それってパート1ですね!

金澤:
あれは実際のお店を使わせてもらって撮影したんですけど、
その時に熱中症になっちゃって・・・。
病院に担ぎ込まれましたね。
そこで「点滴するから」って言われて、大泣きして自分が(笑)
「ヤダ、ヤダ!それだけは、ヤダ!!」って言ったのを覚えています。

隊長:
大切な役の一人が欠けてしまってはいけませんからね。
でも、点滴の時に注射針を刺される恐怖は分かりますよ(笑)
そんなこともあったんですね~。

にぎやかなロケバスの中

隊長:
ロケ先の出来事を色々と話してくださって、本当にいろんなことがあったんだなぁと思います。
ちなみに、ロケバスの中ではみんな何をしていたのでしょうか?

金澤:
移動中は基本的にバカなことしかしてませんでしたね(笑)
「おまえこれやれよ!あれやれよ!」とか言って、ふざけあったり、モノマネしたりだとかしてました。
だいたいはふざけるか、じゃれ合うかって感じでした(笑)

隊長:
移動中もすごい楽しそうですね!
前日の撮影の疲れが残っている時とかありませんでしたか?

金澤:
前の日遅くまで撮影があって、次の日朝早くからロケの時はバスの中で爆睡してましたね。
でも、元気な時ははしゃいでましたよ(笑)

隊長:
本当にみなさん仲が良かったんですね。

金澤:
ホントにケンカとか仲が悪いとか一切ありませんでした。
今考えるとスゴいな〜って思います。

隊長:
茜や浩のようなパート1からの出演者がいる中で、途中から加わるメンバーは、みんなの輪に入るのが逆に大変そうですね。

金澤:
そうなんです。
前からのメンバーの仲が良すぎて、新しいメンバーがみんなの中に入って行くのが難しいな〜って言ってました。
あと、スポット的な感じで入ってくる人たちが、蚊帳の外に感じるって言うのはよく聞きましたね。

隊長:

翼や一平たちも、もしかしたらそういうことを感じていたかもしれませんね。

金澤:
やっぱり翼くんたちとかも言ってましたね。
今井家は家族でひとかたまりで、ホントの家族になってて、周りから見たら自分が他人に感じるって言ってました。
それくらい本当の家族のようだったっていうことですよね~。

茜の背後に何かが・・・

隊長:
5年間もスタジオやロケ地で撮影をしてきて、現場でのトラブルは何かありましたか?

金澤:
トラブルは色々ありましたけど、心霊現象でスゴイのあったんですよ!

隊長:
それは夏スペシャルで使った廃校ではなくてですか?

金澤:
スタジオで撮ったときですね。
あれは7月だったと思います。
普通に茜とお兄ちゃん(健一)とのシーンだったかな?
浩とお兄ちゃんの部屋に二段ベッドがあるじゃないですか?
そこで、茜とお兄ちゃんで喋ってる時に、茜の後ろをに白い玉がスーって通って行ったんですよ~。

隊長:
布団の綿ボコリのような気もしますが、そうではなく?

金澤:
もしそれがホコリだったら人間でも見えるじゃないですか。
でも、どこにも見えないんですよ。
誰にも見えない白い玉が通ったのでスタジオがざわつきましたね。
小谷くんは「いや怖い!ここ怖い!」とか言ってましたし、スタッフの方は「何だこれ!?なんか映ってるぞ!」って。
ホントにみんな怖がってましたし、自分もすっごく怖かったです。

隊長:
廃校でもスタジオでも健一は何か霊を感じるんでしょうね(笑)

階段の先は何がある?

隊長:
クリームソーダさん(※)から「これ聞いてきて!」と言われた質問があるんです。
それを1つ聞きたいと思うのですが、いいですか?
(※)探索隊長のtwitterのフォロワーさん

金澤:
もちろんもちろん!いいですよ!

隊長:
今井家のリビング奥にある階段は上り終わったら、どうなっているのでしょうか?

金澤:
階段を上りきると、そこは何もないベニヤ板になってるんです。
ベニヤ板に座ってて合図があるとそこから降りてきます。

隊長:
合図ってどんな感じで出されるんですか?

金澤:
階段の上にADさんと一緒に待ってるんです。
ADさんがインカムで聞いてて、タイミングを指示してくれます。
ポンって僕たちの身体を叩いたら降りる合図でしたね。

隊長:
よくいつもタイミングよく降りてくると思ったら、そういうことをしてたんですね。

金澤:
2階の廊下のセットにある階段も同じ感じなんです。
下りの階段は途中までしかなくてあとはもう地面です。
あとお風呂のセットはカメラに映る部分の扉と壁だけあって、他は何もないんです。

隊長:
お風呂はシャワーがあってお湯がちゃんと出ますよね?
セットを作る人ってすごいな~ってドラマを見てて感じました。

金澤:
お風呂のシーンは1時間近くお風呂に入っている時もあるのて、身体がふやけそうになった時もありましたね(笑)

学校帰りにデスクさんから

隊長:
いろいろなシーンを収録している中で、恥ずかしかったシーンはどんなシーンですか?

金澤:
自分の感覚としては、「この演技は難しい、難しくない」って感じることはありますが、恥ずかしいと思う演技はなかったですね。
でも、NGを出すとやっぱり恥ずかしいと感じました。

隊長:
どんなNGがありますか?
自分が知っているのはパート5で茜や健一とお寿司を食べるシーンです。

金澤:
僕が印象に残っているのは、後ろから他の生徒が走ってくるシーンで、背中同士でぶつかって自分がコケるシーンですね。

隊長:
あ~、それ知らなかったです~。
DVDでもYouTubeでもなかったな~。見たい!!

金澤:
堺正章さんや野際陽子さんが司会の番組(※)で取り上げられて、そのNGで大賞はもらえなかったんですけど、別の賞をもらいました。
それでデスクさんから携帯に電話かかってきたんですよ。
「浩何食いたい?」っていきなり言われましたね。
どうしてそんなこと聞くのかわからなかったんですけど、「焼肉」って答えたら、「やったね!浩のNGが賞に選ばれたよ!」って。
ちょうど中学校の帰り道での出来事でした。
(※)オールスター赤面申告!ハプニング大賞

隊長:
それで、焼肉は実際に食べに行ったんですか?

金澤:
行きました!家族で叙々苑に!

隊長:
賞金で叙々苑は最高ですよね!

腹踊りのシーンは大変

隊長:
何回も取り直したシーンってありますか?

金澤:
多いですよ。
監督さんによってこだわりが違うんです。
「ここのシーンはこうじゃなきゃいけない」っていうのになるまで何回も撮り直したことはありましたね。
何十テイクもしたシーンはないですけど、腹踊りのシーンは何回も撮ったりとかしましたね

隊長:
浩の腹踊りは本当に面白かったです!
パート2で大介さんが司法書士の試験に落ちた後の励ます会とか。

金澤:
みんな「何回もやろう!もう一回もう一回!」って面白がるんですよ。
それで一番面白いテイクを採用するとかしてましたね。
腹踊りするシーンを撮る前に控室にいたら、監督さんや美術さん、メイクさんとかゾロゾロ来たんです。
「浩、腹出せ!」って言われて、お腹に絵を描いてもらいました。

隊長:
腹踊りは収録前に練習をしたのでしょうか?

金澤:
実際に浩が歌って踊っていたじゃないですか?
事前に「腹踊りはこういう音楽だからね」とか、「こういう感じでちょっと踊ってみて!」って言われるんです。
何日も前から作り込んでましたね、腹踊りを(笑)

隊長:
あの腹踊りも結構練習されていたんですね。
腹踊りってパート2以降、1シーズンに何回かやってますよね?

金澤:
そうですね。
励ますシーンでよく踊りました。
浩の腹踊りで茜が泣くシーンありましたよね?

隊長:
ファイナルで「茜、離れててもきょうだいだからね」って浩が泣きながら踊るシーンですよね?
それで茜も涙を流すっていう・・・。

金澤:
あのシーンは楽しく腹踊りしちゃいけないし、めちゃくちゃシリアスなシーンだったから大変でした。

隊長:
ああいうシーンの撮影前は気持ちを切り替えるのが大変そうですね。

金澤:
みんな撮影始まる前からもうどんよりしてましたね。
いつもだったら本番の直前までふざけてるメンバーで、いきなり演技が始まるっていうのが日常だったんです。
腹踊りの前はみんなで僕のお腹をツンツンするとか(笑)
だから本番で笑っちゃってNGとかしょっちゅうあったんですよ。
「まじめにやれー!」って監督さんに何回も怒られましたね。
でも、「このシーンは違うんだな。」っていうのを感じました。
すごいピリピリしてるっていうか、みんなストーリーに入り込んでいました。

ふざけた現場あってたまるか!

隊長:
本番で笑っちゃうと言えば、パート3。
22話で一平がパンツ一丁で廊下を走るシーンで翼が笑いをこらえているように見えましたね(笑)

金澤:
あの2人は仲良かったから、いつもふざけ合ってました(笑)
監督さんに怒鳴られるなんてしょっちゅうありましたから。
ふざけすぎてフンワリして来ちゃうときがあるんですよ。
それで監督さんがキュッと締めるっていうのがあったからちゃんと撮影が成立してたんだと思います。
みんなふざけすぎてたら仕事になってなかったですよ。
でも、それだけみんなが仲良かったってことです。

隊長:
お話から本当に仲がいい現場だったと感じます。
ちなみに、金澤さんが一番好きなシーンは何ですか?

金澤:
やっぱり、食卓のシーンが1番好きでしたね。
ホントにもう普段から家族みたいな雰囲気で、控室でもふざけてしゃべってて、その雰囲気そのまんまスタジオに持ってくんですよ。
だから本当の家族みたいなシーンっていうのができたと思います。
家族がみんな揃うのが食卓のシーンだったので、一番うれしかったです。

隊長:
ドラマを見ていて食卓は本当に楽しそうでしたね。

金澤:
本番が始まる前にカメラを実際に回すのが1回あるんですよ。
それなんかも、もうふざけ倒してね〜(笑)
本番ってなってもピリピリすることなく、自然体でみんなやってました。
撮影が終わりましたってなっても、スイッチ変わるんじゃなくて、終わった後に撮った映像をみんなで見るんです。
途中から入ってきたスタッフさんとか何人もいるんですけど、「こんな現場ない!」ってみんな言ってました。
「こんなふざけた現場あってたまるか!」って怒った監督さんもいるぐらいです。

隊長:
でも、それが「キッズ」の撮影現場なんですよね?

金澤:
今考えるとものスゴかったですよ!
普通は現場入ってイラッとした空気の中で、「じゃあ、始まりますよ!」ってなると思うんです。
きっちり演技して、終わってって感じじゃなかったですね。
でも途中から入ってきた監督さんも、現場の色に段々染まっていきましたね(笑)

ペンキ塗るからツルツル?

隊長:
パート5に出てきた大山がすごく気になっているんです。
あの人はもともと髪の毛があったのを役のためにスキンヘッドにしたのでしょうか?

金澤:
いや、もともとツルツルだったはずです。
あの人とも仲良かったです。
すごい優しい人でした。

隊長:
意外でした!ドラマだと基本的に威圧感がすごいですよね?

金澤:
見た目すごい怖いんだけど、すごく優しかったです。
僕がおもちゃを持って遊びに行くと、一緒に遊んでくれましたね。
あの人の実家が塗装業だったので、いつも「ペンキ屋さん」って呼んでたんです。
「なんで髪の毛生えてないの?」って聞いたら、「ペンキ塗るからね、髪の毛あるとダメなんだよ」って言ってました。

隊長:
なるほど~、それで大山はツルツルなんですね!

金澤:
いや、たぶん冗談で言ってたと思う(笑)

隊長:
浩くんって結構いじめられますよね?
いじめっ子役の子とも撮影の合間は関わりがありましたか?

金澤:
あの子たちは控室が大部屋で別の階にあったんですよ。
それで僕が遊びに行くんですよ、大部屋に。
そうすると、主要メンバーが来たっていうことで、いじめっ子役の子たちがみんなかしこまっちゃうんです。
「みんなと友達になりたい、遊びたい」って自分は行くのに・・・。

隊長:
やっぱり子どもの間でもそういうことがあるんですね。

金澤:
仲良くなりすぎて演技してるときにも影響出ちゃうから、「浩は大部屋に行っちゃだめ!」って言われたこともありました。

一平がいいな~

隊長:
「キッズ」には全シリーズを通して色々なキャラが出てきますが、もし自分が浩じゃなかったら、誰の役をやってみたいですか?

金澤:
一平です!

隊長:
一平と言うとパート5のちょっとおチャラけてる方のですか?

金澤:
そうです。
「キッズ」の周りを固めてくれた存在だから、見てる方も一平が出て来て違和感なく、安心して見られますよね?

隊長:
パート4と冬スペシャルに一平が出なかったのは寂しかったです。
パート5で再登場した時はドラマの雰囲気がガラリと変わったような気がします。

金澤:
出演者の人たちとしゃべるとよく出てくるのが、「一平の扱いがだんだんネタキャラになってくのが面白いよね?」って。
最初は恋敵になって出てきて、茜を取り合うはずだったのに、だんだんおチャラけっていうか、面白いキャラですよね。

隊長:
そうですよね〜。
急に夏スペシャルになってキャラ変わったな〜って思います。

金澤:
それはやっぱり浅利くんの演じた一平っていうのが、浅利くんがキャラを作ってったんだって、プロデューサーさんが言ってましたね~。
浩も金澤匠が演じたことで、金澤匠が浩のキャラを作り、キャラが出演者にだんだん寄ってったというのが多かったと思います。

健一にかけられた整形疑惑

隊長:
パート5のオープニングって、みんなの顔が出ますよね?
今井家4きょうだいの中で一番顔が変わったのは誰だと思いますか?

金澤:
小谷くん(健一)じゃないですか?

隊長:
ですよね!ですよね!自分もそう思います!!
初めは弱々しい男子だったのが最後はイケメンになってますもんね。

金澤:
一番おしゃれをしてたのが小谷くんでしたね。

隊長:
それで里香ちゃんはあまり変わらないな~って思います。

金澤:
今でもみんなに会った時に「そんなに変わってない」とか、「一番面影あるよね!」って言われるのが、真汐ちゃんなんですよ。

隊長:
自分が見てて思うのが、浩くんはパート3あたりまでは緩やか~に大きくなっていきますが、パート4辺りから髪の毛伸ばしてましたよね?

金澤:
そうそう、変わっちゃいましたよね~。

隊長:
茜はパート1から3までは顔のパーツがあまり変わらないと思いますが、夏スペシャルからガラッと変わりましたよね?真央ちゃんが高校生になって「眉毛剃ってる?」って思いました(笑)

金澤:
そうですよね。
急に変わりましたよね~。

金澤:
真央ちゃんもそうですけど、撮影が空く1年近くの間で、小谷くんが「整形した!?」ってくらい変わってましたね(笑)
だから、「小谷くん整形したの?整形したよね?」ってみんなに言われてましたね。
本人は「してないわ〜。」って言ってましたけど(笑)
それくらい小谷くんは一番顔が変わりました。

「オーッス!」の原点

隊長:
ぜひ、金澤さんに聞きたかったことの一つが、「キッズ・ウォー あるある」なんです。
ご自身が思うものではどんな「あるある」がありますか?

金澤:
漫画ですね。

隊長:
漫画、気になりますね~。

金澤:
子ども部屋でしゃべってるシーンで漫画読んでる時ありますよね?
あの時にたいてい読んでいるのが「空手バカ一代」なんですよ!

隊長:
そうなんですか!

金澤:
セットの本棚に置いてある漫画をそのまま使ってるんです。
なぜかその「空手バカ一代」だけすごいありましたね(笑)

隊長:
どうしてその漫画だけたくさんあったのでしょうか?

金澤:
みんなが茜と「オーッス!」って時々やるじゃないですか?
その要素を作るものの一つに「空手バカ一代」があるみたいなんですよ。
表にはない設定だと思うんですけど、漫画が影響していたらしいです。
漫画に「オーッス!」ってやるシーンが、よく出て来てたと聞いています。

隊長:
茜は漫画に色々と影響されていますからね。
そんな裏の設定があったんですね!
貴重な情報をありがとうございます!!

金澤:
あと、リビングに置いてある雑誌は「マガジン」が多いです。

隊長:
あ~、そんな感じがします。
おばあちゃんに色々言われて浩くんが漫画を破ったこともありましたよね?

金澤:
ちなみに少年チャンピオンに連載されていた「浦安鉄筋家族」が当時すごく大好きだったんです。
それで撮影の待ち時間に単行本を読んでると、「浩、変なの読んでるな〜。面白いの読んでるな〜。」って言われました。
その漫画に出てくるキャラの真似もよくしてましたね(笑)
みんなから「浩、あの顔やって!」って言われてふざけてました。

隊長:
視聴者の見えないところで色々と楽しんでたんですね。

キッズ・ウォーの20年後

金澤:
「キッズ」の撮影の外側に本当の「キッズ」があったんですよね。
だから演技をするときも春子さんや大介さんとも自然な家族になれました。

隊長:
「キッズ」の20年後があったとします。
茜たちは大人になったらどんな仕事をしていると思いますか?

金澤:
1人はニートになっていると思いますね。
現代社会の問題を象徴するキャラみたいな感じで。
そういったニートだとか、社会から外れちゃった人が出てくると思います。
もし畑さんがまた脚本を書いたら、絶対なるだろうなっていうのを、みんなで集まったときにもしゃべってたんですよ。

隊長:
出演者の集まりでもそういった話が出ていたんですね。

金澤:
そして、里香ちゃんは20年後に絶対結婚してるってみんな言ってました。
一平は絶対に医者になってドクターヘリに乗ってるとか言って(笑)
「それ、今のイメージじゃん!」ってみんな笑ってました。

隊長:
実際に一平は「コード・ブルー」でヘリに乗ってますね(笑)

金澤:
それで一番変わってそうなのが自分だって言われてましたね。
浩は昔のキャラとは真逆のキャラになってそうだなって。
あと、茜は先生になりそうかな?

隊長:
あ~、なんか分かります。
「キッズ」の中では全然勉強しなかった茜が先生になるのが。

金澤:
教師に対する不満が一番多かった子が茜じゃないですか。
自分が教師になって他のダメ教師と戦いそうっていうイメージはありますね。

金澤匠は浩に戻る

隊長:
金澤さんは今、ドラマの中の春子さんと同じくらいの歳ですが、何か実感したことなどはありますか?

金澤:
全然実感ないですね。
というのも、みんなで集まると確かに歳は取ってるんです。
でも、関係性や中身は変わってなくて、あのメンバーで集まると、生稲さんは春子さんになるし、自分は浩に戻りますね。
「キッズ」の話をするとあの頃の感じに戻るのは、そういうのが自分の中に植え付けられているんだと思います。

隊長:
今日のお話の中でも健一のことを「お兄ちゃん」と言っていたので、浩に戻っているのかな~と思いました。
やっぱり川野太郎さんがいると、本当に大介さんの子どもみたいに思いますか?

金澤:
思いますね。
共演者と集まったときに、「どう?仕事は?」みたいな、ワンシーンが自然と始まるんですよ。
当時の監督さんとか、スタッフさんとかも集まるからそれを見て、「ワンシーン、ここで撮れるよね?」って必ず言うんですよ。
やっぱりこのメンバーが今井家になってるって泣いてる人もいましたね。

隊長:
いつ会っても、何回会ってもたぶんそうなりますよね?

金澤:
そう思います。
以前、生稲さんの乳がんの講演会に母親と2人で行ったんですよ。
その時も前で話してる生稲さんを見て、変わんないな〜と思いました。
話してる言葉を聞いていると不思議な気持ちになるんです。
役を作ってたというより、生稲さんが春子さんになってたんだなって思います。
キャラ作りをしてる人って1人もいませんでしたから。
みんな普段話していると、どこかしらそのキャラの感じがしましたね。

時事問題の単語を使う脚本

隊長:
実は、自分はドラマに出てきたロケ地はほぼ行ってるんです。
愛知県内だけでなく、長野も沼津も。
どうしても場所がわからないロケ地がいくつかあるくらいで。

金澤:
作品への愛がもうすごいですね!

隊長:
初めは東にじが丘小学校の場所を探してたんですよ。
小学校を見つけて現地に行った時は感激でしたね!

金澤:
だいたい校内はセットで、登校するシーンはロケしてましたね。
自分がデーモン小暮のメイクをした時もありましたね。
その時は小学校の前とか歩いてたな~。

隊長:
浩は時々茜に乗せられて何かやってますよね(笑)

金澤:
一番最初に染まってったのが浩でしたからね。

隊長:
茜が今井家に来てから一番初めに打ち解けたのが浩でしたよね?
里香と健一は茜のことを「ダイオキシン」とか言ってましたし。

金澤:
ちょうどその頃ダイオキシンが問題になってましたよね?
だいたい世相や時事問題で出てくる単語使ったりとか多かったですね。

隊長:
パート5になると何言ってるのかわからないときが時々ありました。
普通じゃ使わないような言葉が結構出てきて・・・。

金澤:
それは畑さん節なんですよ。
畑さんの使う言葉って子どもにはわからない言葉が結構出てくるんです。
Twitterでも畑さんの作品が好きで見てて、「キッズ」のこういう所に畑さんの雰囲気が表れてるとか、「そういう見方してる人いるんだ~」って感じます。

話の行間のシーンが難しい!

隊長:
自分はパート1の台本を1つだけ持っているんです。
見てみると、点々(・・・・・・)がとても多い印象がありました。
さっき見せていただいた(※)ウルトラマンのにはそれほどありませんしたね。
(※)「キッズ」の話題に入る前、出演作品の台本を見せていただきました。

金澤:
畑さんの脚本は多いんですよ。
それで点々の部分の演技が難しかったです。
セリフがないところのシーンの大切さをしょっちゅう言われましたね。
「この時どういう気持ちでいるかわかるか?」とか。

隊長:
ドラマを見ていると、あまり点々がないと思っていたので意外でした。

金澤:
実際は結構多いんですよ。
「行間のシーンを大事に」って言ってたのが小谷くんと浅利くんでした。
浅利くんは特に顔だけで演技するレベルがその頃から違っていて、すごいなっていうのを自分は感じましたよ。

隊長:
特にパート3では色々と悩んでいることが一平はありましたもんね。
お話を聞いて思い出してみると特に一平は表情での演技が多かったと思います。

新聞で見る「キッズ」の影響

隊長:
自分のTwitterは感覚的に女性のフォロワーさんが多いみたいで、真央ちゃんファンが多い感じがするんです。

金澤:
やっぱり「キッズ」が今でもみんなに見てもらえてるのは、真央ちゃんがあれだけ成功したというのもデカいと思うんですよ。

隊長:
「キッズ」の後も「花より男子」に出て、NHKの朝ドラとか大河とか。
子どものころから本当に広く長く活動していますよね。

金澤:
そうですよね~。

隊長:
自分は「キッズ」が載った新聞記事を集めているんですが、放送開始の時期は見出しがほとんど生稲さんなんですよ。それが、途中から「茜」に変わるんです。
例えば「”茜”人気で特別編」(産経新聞 2002年6月21日)とか、「見納め!?茜の勇姿」(中日新聞夕刊 2003年11月5日)とかですかね。
「茜」で通じてしまうくらい有名だったってことがわかります。

金澤:
番組が有名になった後は、クレーム多かったですよ。
例えば、「これに使われているこの言葉はダメ」とか。
それで撮り直しになったシーンもありました。
あとは「これは教育に良くないよ。」っていう、社会的な意見がけっこう来るようになりましたね。

隊長:
確かに茜の言葉遣いや先生への態度が人によっては教育に良くないと感じることもあったかもしれませんね。

金澤:
当時も今と同じように放送倫理があったので、撮り直ししなさいってなったら、しなきゃいけなかったんです。
その時はセリフを変えて撮り直すとか多かったですね。
外部の人から指摘をもらうと、社会的な影響が大きかったのを感じました。

隊長:
自分が見つけた中で1つだけあったのが、新聞の投書(朝日新聞名古屋版夕刊 2003年9月26日)で「キッズ」のことが書いてあると思ったら、「子どもたちには見せたくない番組」というものです。
パート5を見て「子どもが真似しちゃうから」という内容でした。

金澤:
それは多かったですね。
子どもに見せたくないって思う人もいました。
「悪影響がある」とか畑さんもスゴい言ってましたね。
「でも、それをテレビでやるっていうことが大事だ!」って言って、畑さんは絶対に変えませんでした。

隊長:
「キッズ」のガイドブックを読んでいても畑さんのそうした思いがよくわかりますね。

金澤:
「社会的に無難な作品にするのは絶対にダメだ!」ということを畑さんがよく言ってて、実際に世の中でどういう問題が起き、それをドラマの中で取り上げることの大事さを何回も聞きました。
どんどん批判されて「もう(脚本を)書きたくない!もう書きたくない!」って、シーズンが終わるごとに「もうこれが最後!」って言ってましたね。

教職課程で使えるか?

隊長:
自分、大学生の時に教職課程とってたんです。
今思うと教職の授業で「キッズ」を使ったら、毎日ルンルンで大学に通っていたと思います(笑)
ドラマの一部分を見せて議論する授業とか面白そうですね。

金澤:
確かにそうかもしれないですね。

隊長:
すごい極端な例だと思いますが、先生が「ちゃんとした服着て来なさい!」って言って、茜が「ちゃんとしました」ってスゴい格好で学校に来ますよね?
パート2ではガングロメイク、パート4では男女の制服を入れ替えたり。
自分が先生だったら、そういう子にどう対応するか、「ちゃんとする」というのは何なのかを子どもにどう伝えるか。

金澤:
それを考えさせるんですね。

隊長:
パート3で出てくる吉野先生は不良には弱腰ですが、そうでない子には強気で注意をしますよね?
子どもにとってはそれがすごい不公平に感じると思うんです。
それに対して茜が先生に物申すじゃないですか?
「本来なら先生はあの時どうすべきだったか?」
「もし、生徒からこう言われたらどうするか?」
というのを考える材料に「キッズ」は使えると思いますね。

金澤:
「キッズ」は社会的なそんたくなく作っていたドラマだと僕は思います。教育問題を親や子供の視点で取り上げた最後のドラマじゃないかって色んな人が言ってますね。
今は「これ出しちゃまずいかな?これはやっちゃいけないかな?」って周りの目を気にしながら作っている作品が多いと思います。
その時代に合った教師や体罰の問題、性同一性障害について扱うのは、今考えたらスゴい勇気があったと感じますね。

隊長:
ビクビクしていたら「キッズ」は作れなかったと思います。

金澤:
そうですね。
「これをやっちゃダメかな?」っていうのを考えたら、たぶんできなかったドラマですね。

ファンレターは同年代が多い

隊長:
ところで、ファンレターってどのくらい来ましたか?

金澤:
来ましたね〜、いっぱい。

隊長:
どういう年代が多かったでしょうか?

金澤:
同年代が圧倒的に多かったですね。8割型同年代の子たちでした。
自分も浩みたいにいじめられた体験をしたけれど、ドラマを見て勇気もらったっていうのもありましたね。

隊長:
ネットを見ると、不登校で学校行けないときに「キッズ」を見てたっていうコメントも時々見かけます。

金澤:
そういう子たちからもたくさん手紙が届きました。

隊長:
シリーズが続くと見ている子どもたちも、いつまでも「キッズ」が続いてほしいとか、早く続編が見たいという声もたくさんあったと思います。やはりそれだけ多くの人の心に作品が残ったんでしょうね。

本当に終わりなんだな・・・

隊長:
1999年から2003年まで「キッズ」は放送されましたが、ご自身が出たシーンで印象的だったのはありますか?

金澤:
茜が新潟に帰るシーンですね。
茜が去ってくところを「茜!」って言って叫んで泣くシーンが印象的でした。

隊長:
パート5の最終話のことですね!
そのシーンのロケ地も行ってきました。
田舎でロケしたんですよね?

金澤:
そうそうそう!
パート5の時点でこれが最後だってみんなに伝えられてたから、そのシーンを撮るときは「ホントに終わりなんだ」って実感しましたね。

隊長:
実際はパート5の後にファイナルが放送されましたが、最後だと分かると、そうした気持ちが演技にも現れますよね。
その演技が見ている方にも伝わってきて、これで「キッズ」が本当に終わってしまうんだと思うと、すごく切ない気持ちになりますね。

探索隊長は変質者!?

隊長:
ちょっと変なこと聞いていいでしょうか?
探索隊長の存在をTwitterで知った時、どう思いましたか?

金澤:
初めってどんな感じでしたっけ?

隊長:
ブレスレット作ってらっしゃるのを金澤さんが載せられてて、「浩くんってTwitterやってんだな〜」って知って、自分がフォローしました。

金澤:
最初は「『キッズ』が好きな人なんだな〜。」ってうれしかったです。
で、ツイートの内容見てたら、すごい失礼だけど、「変な人だな~!」、「どんだけ好きなんだよ!『キッズ』のこと!」、「ストーカーじゃねぇか!」って思ってました(笑)

隊長:
「キッズ」のことばかりツイートしてる人たぶん自分だけですよ(笑)

金澤:
この人はすごく「キッズ」に固執してる!
他の人とは違うっていう印象はありましたね。
「危ない人なんじゃないか!?」っていう印象でした。
今はそんなこと一切思ってないですけど、最初は「何だこの人、変な人だな〜」ってとにかく思ってました(笑)

隊長:
自分で言うのも変ですが、キッズのロケ地を今頃になって熱心に探してる人って他にいないと思います。

金澤:
色んなドラマのロケ地を見て回ったりとか、色んな人の追っかけをしてるならわかるんです。
でも、「キッズ」をピンポイントでやってますよね?
いっぱい他にも質の高いドラマ、あるだろうに。
なんで「キッズ」にそこまで固執するんだろう?
「何かかあるのかな?」っていうのが、ともかく最初、奇妙に感じました。

隊長:
おそらく自分の昔を思い出させてくれるドラマだったので、「キッズ」を見返してすごく好きになれたんだと思います。
そこまで好きにならないとわざわざ愛知、長野、沼津を訪れてロケ地巡りなんて絶対しないですよ。

金澤:
色々と話していく中で、「あ、ホントに『キッズ』が好きなんだな、この人」、「『キッズ』に対する愛が強いな」っていうのを感じましたね。
「ただ好きとかじゃないな」って思いました。
作品のことをそこまで掘り下げてって、知りたいって思うってホントに珍しいと思います
「貴重な人だな〜」って今でもそう思ってます。

隊長:
Twitterやるなら1つにテーマを絞ってやろうと思ってたんです。
ジャンルごとに専用アカウントを持っている人もいますよね?
自分はアカウントは1個しか持ってないですけど、やるなら「キッズ」のことだけやろうと思って始めました。

金澤:
最初はとんでもない変人かと・・・。
変質者かと思いましたもん(笑)
「『キッズ』をあ〜見てました、好きでした~」っていう感じじゃない!なんか毛色が違う(笑)

隊長:
Twitterでお世話になっているクリームソーダさんも含め、お会いした方は何人かいますが、「名古屋の方ですか?」ってみなさんから聞かれるんですよ。
でも、「東京に住んでます」って答えると驚かれますね。

金澤:
自分も最初そうだと思いましたもん。
「名古屋で見てた人なのかな〜?」って最初思ってて・・・。
それでロケ地とか知ってるから、出掛けて撮影してるものだと思ってました。

隊長:
初めはロケ地に行くつもりは全然なかったんですよ。
でも、1か所見つけたら気になるじゃないですか?

金澤:
しかもロケ地を自分で照らし合わせて探してるって言うのを聞いて、「尋常じゃないな!」って思ってました。

隊長:
ロケ地を探すのは結構難しかったですよ。
簡単に見つかる場所とそうじゃない場所がやっぱりありますから。
ネットにも少ししかロケ地の情報が載っていませんもんね~。

金澤:
やっぱりそれだけロケが多かったドラマでしたからね~。
「スタジオの中とか連れて行ってあげたいな~」って思うくらいです。

邪魔されちゃった側なので

金澤:
自分の家の周りって結構ロケやってるんですよ。
撮りやすいんですよ、都心より。

隊長:
確かにロケ地サイトとか見ていると、だいたい決まったところで色々な作品のロケがありますよね!

金澤:
ロケを見かけたときはそっとしてます。
「何の撮影ですか?」って聞いたら邪魔しちゃいますから。

隊長:
昔、金澤さんが邪魔されちゃった側ですからね(笑)

金澤:
戦隊モノが戦っているのを見たこともありますよ。
ちなみに、自分は「毛利元就」の大河ドラマに出てたんですが、あれは全てスタジオ撮影だったんですよ。
しかもカツラがかゆい!

隊長:
そうなんですね!
カツラは大変そうですよね?
そういえば、茜は基本的に付け毛だったそうですね。

金澤:
そうです。
ピンで刺してるんです。
「痛いんだよいつも」って真央ちゃんが言ってました。

隊長:
自分はどうしても茜役の真央ちゃんっていうと、「あの髪型」をイメージしちゃうんですよ

金澤:
自分たち出演者は基本的に撮影が終わるごとに、メイクを取ってどこかに遊びに行こうだとかするんです。
だから出演者はお互いに普段のイメージの方が強いんですよ。
でも、見ている人は逆に感じると思います。

隊長:
いや~、それにしても話を聞くと、20年近く前のことを色々と覚えていらっしゃいますね!

金澤:
まだまだ、いくらでもありますよ(笑)
1日じゃ終わらないと思います。

隊長:
またお仕事がない日などにお話を聞かせてください。
今日は本当にありがとうございました!!

おわりに

お仕事でお忙しい中、3時間近く話をしてくださった金澤さんにこの場を借りて改めてお礼申し上げます。

インタビューの時に金澤さんから番組ポスターと、茜役の井上真央さんのサインをいただきました!

差し上げますって言われた時は泣きそうになりました。
CBCに貼ってあった「キッズ」のポスターとか、欲しいな~って思っていたタイミングでいただけて、本当に本当にうれしかったです!!

井上真央さんのサインは金澤さんが知り合いに「真央ちゃんのサインもらってきて!」と頼まれた時のものが家に残っていたそうで、わざわざ持ってきてくださいました。
しかも、この状態で残っているのは奇跡とのこと。

今回のインタビューは録音させていただき、インタビュー記事は金澤さん確認のもとで公開しています。

キッズ・ウォーのファンの皆さんにとって、このインタビュー記事がますます作品を好きになるきっかけとなってくだされば、それに勝るものはありません。