隊長:
さあ皆さん、いよいよ最後のロケ地、「なわて通り商店街」です!
茜:
うわぁ~、この風景懐かしい!
隊長:
茜ちゃん、この場所のことならよく覚えていそうですね。
茜:
あったりまえだろ。
何せオレと黒木が再会した場所がこの商店街なんだから。
浩:
ねえ、見て見て!
おっきいカエルの置物!
健一:
どうして、こんなところに置いてあるんでしょうか?
茜:
へっへっへ・・・。
里香:
ちょっと、急に変な笑いしないでよね!
茜:
どうしてカエルがいるのか教えてやろうか?
浩:
もー、もったいぶらないで教えて!
茜:
それは・・・。
健一・里香・浩・隊長:
それは・・・!?
茜:
それはだな!
健一・里香・浩・隊長:
うんうん!
茜:
!?
健一・里香・浩・隊長:
!?!?
茜:
わかんないや!
隊長:
あらら・・・。
里香:
ちょっと何よぉ!
ここまで期待させといて、それはないでしょう!
健一:
隊長さんはわかりますか?
隊長:
ええ、少しだけなら。
茜:
じゃあ、隊長さん。説明よろしくぅ~!
隊長:
なわて通りのシンボルとなったのは「カジカガエル」というカエルなんです。
浩:
カジカガエル?
隊長:
カジカガエルは、きれいな川にしか生息できないカエルで、昔このあたりにたくさん住んでいたそうです。
里香:
でも、時代の変化で川も汚くなったとか?
隊長:
そうなんです。
そういうこともあって、 この商店街の横を流れる女鳥羽川が再びキレイな 川になることを願い、商店街の入口にイメキャラとして建てられているそうです。
健一:
へぇ~、そういうことなんですね。
隊長:
ちなみに「なわて」という地名は、縄のように細くて長い土手から由来しているそうですよ。
茜:
やっぱ隊長さんは違うなぁ。
里香:
あんたとは1000倍くらい違うわね。
茜:
うるせぇ!
里香:
そういえば、茜と黒木くんって、確か映画館の前で会ったのよね?
茜:
いやぁ~、思い出すだけで驚くよなぁ。
だって、松本の商店街に行ったら黒木がいたんだから。
浩:
黒木くんって、浜松の学校に転校しちゃったんだよね?
健一:
でも、浜松でも両親がケンカしてばかりで、松本の親戚の所に来てましたからね。
里香:
黒木くんの家っていつも大変そうね・・・。
茜:
そうだよなぁ。
だって、初めはお父さんが逮捕されて釈放されたと思ったら、黒木がお父さんをナイフで刺しちゃうし。
里香:
ちょっと茜、あんた大事なこと忘れてない?
茜:
は?
里香:
あんたの大好きなトミーっていうお父さんのことよ。
東京の黒木くんの家が荒れたのは、あんたのお父さんのせいなんだからね!
健一:
里香、その話はよしましょう。
せっかくのロケ地巡りなんですから。
里香:
・・・ごめん・・・。
浩:
あっ、隊長さんごめんね。
話がそれちゃって。
隊長:
いえいえ、いいんですよ。
皆さんには少しでも当時のことを思い出して欲しいと思ってますから。
でも、明るく明るく!
茜:
そうだ!
人間みんな明るいのが一番!
隊長:
少しこの商店街を歩きましょうか。
健一:
そうしましょう!
里香:
いろんなお店があるのね~。
浩:
着物におもちゃ、たこ焼きも売ってる!
隊長:
修学旅行の中学生でしょうか?
グループがチラホラいますね。
里香:
太陽学園は修学旅行なんてなかったから、一度でいいから修学旅行気分を味わってみたいわ~。
茜:
まぁ、修学旅行じゃないけど、沼津に合宿に行ったり色々やったよな?
健一:
でも、瀬島先生はどこ行ってもうるさい人先生でしたね。
茜:
怒鳴り声を聞くたびに「お前の声の方がうるさい」って言ってやりたかったぜ。
浩:
それに比べて隊長さんは・・・、
茜:
いつも穏やかでいいよなぁ。
隊長:
いやいや、皆さんに怒ることなんて一つもないじゃないですか(笑)
里香:
茜が一番危なっかしいんだからねぇ。
隊長さんに怒られるようなことするんじゃないわよ。
茜:
いちいちうるせぇなぁ、お前は。
隊長:
あっ、この辺ですね。
浩:
どうしたの?
隊長:
茜ちゃんが黒木くんに会った映画館、「松本中劇」という場所なんですが、ここにあったんですよ。
里香:
今はマンションになっちゃったのね。
健一:
でも、このマンションの入り口、面白いですね。
浩:
ホントだ!
瓦屋根をくぐって中に入るんだね。
隊長:
きっと、周りに風景を合わせるために日本風にしているんですね。
茜:
なんか、こうして商店街を見ると風情があっていいよなぁ。
浴衣着て歩いたら最高だろうな。
里香:
へぇ~、茜の口から「風情」なんて言葉がでてくるもんなのねぇ~。
茜:
何だよ、オレが言ったらおかしいってのか?
健一:
いつか5人で浴衣を着てもう一度来てみたいですね。
隊長:
おー、それいいですね!
健一:
でしょ~。
茜:
あっ、この橋!
浩:
どうしたの、茜?
隊長:
茜ちゃん、覚えていたんですね!
この橋は、茜ちゃんが黒木くんを探すシーンで渡ってた橋ですね。
橋の名前は「一ツ橋」と言います。
茜:
この商店街のシーンでの撮影も結構印象に残ってたからな。
橋のことも覚えてるぜ。
隊長:
あっ、今気づいたんですが、一ツ橋の方からさっき来た方に向かって案内すればよかったですね(汗)
里香:
そんなことないわよ隊長さん。
逆からでも十分ロケ地を味わうことができたわ。
茜:
よし、次の場所へ行こうぜ!
隊長:
・・・茜ちゃん・・・、この場所でロケ地巡りは終わりです。
茜:
・・・えっ?
隊長:
だいぶ日が傾いてきましたね。
健一:
そうですね・・・。
隊長:
この2日間、皆さんを案内できて本当に楽しかったです。
健一:
隊長さん、僕たちも楽しかったです。
ありがとうございます。
浩:
ありがとう、隊長さん。
隊長:
私は松本駅から特急で東京に戻ります。
みなさんは・・・。
里香:
私たちも同じよ。
一緒の電車で帰りましょう。
茜:
家に帰るまでがロケ地巡りだもんな。
5人で帰ろうぜ!
隊長:
はい、とってもうれしいです!
健一:
隊長さん、長野駅で借りたレンタカーはどうするんですか?
隊長:
松本駅で乗り捨てできるよう、前もって連絡しておいたんですよ。
里香:
さすが隊長さんね。
やっぱり茜とは大違いね!
茜:
悪かったな、予約忘れるようなバカで!
里香:
その言葉がぴったりね。
ってのは冗談よ。
次から気を付けなさいよねぇ。
隊長:
それでは、駅へ行きましょう!
茜:
オーッス!!
<松本駅>
隊長:
私たちの乗る電車は、16時30分発の特急あずさ46号ですね。
茜:
(みんなの切符を見ながら)
おっ、5人とも席が近くじゃんか。
駅アナウンス:
まもなく、特急あずさ46号新宿行きが参りまーす。
黄色い線の内側にお下がりくださーい。
里香:
あっ、電車が来た!
茜:
よし、乗るか!
<特急あずさ車内>
隊長:
みなさん、2日間本当にありがとうございました。
茜:
いや~、最初はどうなるかと思ったぜ。
浩:
隊長さんが同じ電車に乗ってたから、ロケ地巡りができたんだよね!
健一:
こうして無事に家に帰れるのも、隊長さんのおかげですね。
隊長:
よしてくださいよ。
私はただ皆さんを案内しただけなんですから。
茜:
そんなことないよ。
隊長さんは案内するだけじゃなくて、オレたちの懐かしい思い出を蘇らせてくれたじゃんか。
浩:
そうだよ!
隊長さんのキッズ・ウォー愛もよく伝わって来たし!
健一:
隊長さんの連絡先聞いておきませんか?
茜:
そうだな!
また一緒にどこか行けるかもしれないし。
じゃあ、LINEの友達登録でいいか?
隊長:
はい!
茜:
隊長さん、これからもよろしくね!
浩:
ありがとう・・・。隊長さん。
健一:
僕からもよろしくお願いします!
里香:
よろしくね・・・。
(全員と友達登録を終えて)
茜:
よし、これで隊長さんとはいつでも連絡が取れるな。
今度さ、みんなでどっか遊びに行かない?
隊長:
え!?
そ、そんなこと・・・、とてもうれしいです!!
里香:
・・・・・・。
健一:
里香、急に黙ってどうしたんですか?
里香:
いや・・・、今度って言われても・・・。
茜:
里香、お前さ、社会人になってもガリ勉で頭疲れないか?
たまには遊んどいたほうがいいぞ。
里香:
・・・・・・。
浩:
そうだ、隊長さんにこれあげる!
隊長:
これって・・・。
浩:
ブレスレット。
今日の思い出にして。
隊長:
でも・・・、これは浩くんの・・・、
浩:
僕のことずっと忘れないでね。
里香:
・・・隊長さん。
ずっと言おうと思ってたんだけど、私たちね・・・、
隊長:
(突然話を遮るように)
あっ、そうだ!
自販機でみなさんのお茶買ってきますからちょっと待っててくださいね!
浩:
・・・ありがとう・・・。
茜:
(隊長が隣の車両に行ったのを見て)
里香、隊長さんには言わないでおこうぜ。
里香:
でも・・・、
茜:
隊長さんが悲しまないようにしなきゃ。
もし、里香が隊長さんだったらどうする?
里香:
・・・・・・。
健一:
・・・そろそろですね。
茜:
そうだな・・・。
隊長:
みなさん、お茶買って・・・。
あれ??誰もいない。
席間違えたかな?
(LINEの通知音)
隊長:
ん?
茜ちゃんからLINE?
茜からのメッセージ:
隊長さん、2日間本当にありがとな。
今井家のきょうだいを代表してお礼を言うよ。
このメッセージを読んでいるということは、みんな席からいなくなってると思う。
決してどこかに隠れてるわけじゃない。
オレ達は元いた世界に帰らなくちゃならないんだ。
健一も里香も浩もそのことをいつ言おうか迷ってた。
悲しませたくなかったんだ、隊長さんのことを。
時々、浩と里香がコソコソ話してたのはこのことだったんだよ。
オレ達だって隊長さんにまた会いたいさ。
一緒にどこかへ遊びに行きたい。
キッズ・ウォーの話も色々したい。
でも、それはもうできないんだよな。
旅館の温泉でオレが投げた桶が当たって痛かったよな。
ごめんな・・・。
でも、あの時の隊長さんと健一と浩、とっても楽しそうに話してたし、キッズ・ウォーがすごく好きなんだなって思った。
この2日間、一緒に過ごしたこと、ロケ地を案内してくれたこと、いろんな話をしたこと、絶対忘れないから。
お別れは寂しいけど、ドラマを見てオレたちのことを時々思い出してくれよな。
それじゃ、達者でな!
風邪ひくなよ!
茜より
隊長:
茜ちゃん・・・。
健一くん・・・。
里香ちゃん・・・。
浩くん・・・。
あれ?
LINEの画面が・・・。
画面を見ると、さっき友達登録をしたはずの4人の名前がだんだん薄くなっていく。
そして、初めから無かったかのように消えていった・・・。
でも、1つだけ残ったものがある。
それは・・・、浩くんからもらったブレスレット。
窓の外にはキレイな夕日があった。
外を見る自分の顔が電車の窓に反射してかすかに映っている。
電車がトンネルに入ると、自分の顔がはっきりと見えた。
また会える時が来るって信じてるよ。
きっと会えるよね!
僕も絶対忘れない!
やがて、電車はトンネルから出て、まぶしい夕日が一気に車内に差し込んだ。
窓の外の景色がどんどん流れていく。
思い出のブレスレットを腕から外して窓際に置いた。
すると、それは夕日を受けて、きれいなきれいな青色に輝いていた。
<おわり>
※このストーリーはフィクションです。
<あとがき>
全8話、最後までお読みいただきありがとうございました。
「相変わらず無理な展開だな~」と思った方も多いかもしれません(笑)
長野編は正直言ってうまく書けませんでした。
自分で言うのも変ですが、名古屋編の方が面白かったと思います。
長野のロケ地は夏SP、冬SPでしか出てこない場所です。
しかも、それぞれの場所がドラマで少ししか登場しないので、隊長が案内しているときやロケ地にいる茜たちのセリフを考えるのが難しかったのです。
例えば、パート4までよく出てきた大曽根商店街だったら、「あんなこともこんなこともあったよな」というセリフがつくれるのですが、短いと1分未満、長くても数分しか出てこないスペシャルのロケ地だとなかなかそうはできません。(言い訳ですよね・・・)
実際、長野に行ったのは2019年5月下旬のことです。
そのため、ストーリー中の写真はその時期に撮ったものを使いました。
ちょうど夏SPの撮影があったのが5月だったそうですから、
木々の葉の具合がドラマと近かったのを覚えています。
名古屋編との大きな違いは、茜たちと隊長たちの出会いです。
名古屋編ではあらかじめロケ地巡りが約束されていましたが、今回は新幹線の中で偶然会ったことでロケ地巡りが始まりました。
「ちょっと無理があるスタートだったかな?」とも思っていますが、前回とは違う始まり方をしたいと考え、そのようにしました。
しかも、ラストシーンでは東京に帰る電車の中で茜たちは「元いた世界」に戻りました。
この考え方を取り入れたのは、ロケ地巡りに行くたびにまるで自分がドラマの世界にいるように感じられることがよくあったからです。
アニメの聖地巡礼と同じですね。
ラストで浩が隊長に渡したブレスレットがありますよね?
その写真として使用しているのは、浩役の金澤匠さんにオーダーして作ってもらった実在するブレスレットです。
この「もしロケ」のために作ってもらったものではないのですが、本当にきれいにできていて、外出するたびに身に付けています。
twitterで「キッズ・ウォー 懐かしい!」という投稿が見られるのも、多くの人がスマホを持つようになり、情報発信が容易にできるようになった時代の変化の一つです。
今回は茜たちの具体的な年齢を設定しませんでしたが、最終話の中にLINEを登場させました。
キッズ・ウォーの放送当時はなく、今は当たり前にある通信手段です。
つまり、それだけ「もしロケ」の世界が放送当時から時間が経っているということです。
さて、名古屋編、長野編とストーリーを書いてきましたが、まだ沼津(ファイナルの舞台)が残っています。
しばらくしたら沼津編を書きたいと思っていますので、その際はぜひ読んでいただければうれしいです。
皆さんのご愛読に改めて感謝します。