浩:
あ~、お腹いっぱい!
里香:
ったく、浩ったらサンドイッチ5つも食べて!
そんなに食べたらますます太っちゃうじゃないのよぉ。
茜:
浩は撮影の時も「消えもの」をバクバク食べてたよな?
何年経っても変わらないな。
浩:
だって、CBCの消えものってすごく美味しいんだもん!
隊長:
どの料理もすごくおいしそうでしたよね。
食卓で食べてた皆さんがうらやましいです。
さて、ロケ地案内の続きをしたいと思います。
健一:
隊長さん、この辺りはドラマでよく使いましたよね?
隊長:
さすが健一くん!
この広場は「ドロシーの泉」で、里香ちゃんがテレクラのオヤジと待ち合わせをした場所ですね。
茜:
それにしても、お前どうしてあの時テレクラなんてやったんだ?
里香:
あの時はちょっとイライラしてたのよ!
茜:
でも、お前に会いに来てくれる物好きなオヤジもよくいたもんだなぁ。
里香:
あんたはいちいちう・る・さ・い!
隊長:
そして、この先を曲がると・・・。
浩:
曲がると・・・?
健一:
ひまわりの家じゃないですか!
浩:
こんなところにあったんだね!
健一:
ひまわりの家は本当にいい所でした。
規則で縛る先生もいなかったですし。
茜:
お前、パート4じゃ永井益美に会いたくてひまわりの家に行ってたんじゃないのか?
健一:
ち、違いますよ!
茜:
そうかぁ~?
永井の写真見てニヤニヤしてたくせに。
健一:
まあ、少しは合ってますけど・・・。
って、何て事を言わせるんですか!
茜:
へっへっへ!
隊長:
健一くん、視聴者の私も確かに見ましたよ~。
健一:
隊長さんまでそんなこと言わないでくださいよ~。
隊長:
ハハハ。
さて、今度は商店街の外側に行きますよ。
里香:
この辺りにもロケ地があるの?
隊長:
はい。大きく分けると3つほど・・・。
まず1つ目はこちらの病院。
浩:
大隈病院?
隊長:
この病院って時々誰かが入院する時に出てきましたよね?
茜:
そう言えばそうだったな。
隊長:
あとは翼くんが救急車を追いかけて、ここまで来たシーンもありましたね。
茜:
振り返って見れば、翼の愛を感じたな。
浩:
何の?
茜:
オレへの愛に決まってんだろ!
恥ずかしいからそんなこと言わせんな!
里香:
ホントは今ものすご~くうれしいくせに。
茜:
まっ、そういうことにしといてやるよ。
健一:
ところで、パート2以降で出てきたおばあちゃんのスクールの建物に
まだ行ってませんでしたよね?
茜:
そうそう。まだだったよな。
隊長:
残りの2つがそのスクールなんです。
歩いてすぐのところにありますよ。
隊長:
これがパート2で登場したスクールの建物です。
里香:
こんなところにあったのね~。
茜:
ホントに病院のすぐ近くなんだな。
浩:
建物しか映らなかったのによくここを見つけたね。
隊長:
ドラマに映っていた建物にECCの文字が見えたんです。
茜:
ECC?
隊長:
英会話教室のECCジュニアじゃないかと思って探したら、見事に見つかったと言うわけです。
里香:
そういうロケ地の探し方もあるのね。
浩:
すごい!すごいよ、隊長さん!
隊長:
ありがとうございます。
もう1つのスクールの建物は来た道をまた戻って向かいます。
隊長:
あの背の高い方の建物がそうです。
茜:
これだったのか!あの建物は。
健一:
どちらも商店街の近くにあるなんて、全然分かりませんでしたよ。
隊長:
この建物はちょうど信号待ちをしている時にたまたま見つけたんです。
里香:
信号待ちってどういうこと?
隊長:
以前ロケ地巡りに来た時、レンタカーを返しにこの道路を通って栄方面に向かってたんですよ。
茜:
それでたまたまこの信号で止まった時に横を見たら・・・。
隊長:
見つけたというわけです。
健一:
ってことは、信号が青だったら見つからなかった場所ってことですね。
隊長:
そうなんですよ。
見つけたときは思わず大声出ちゃいました。
浩:
偶然見つかるロケ地もあるんだね。
茜:
本当に隊長さんはすごいぜ。
1回しか出てこないロケ地もほとんど見つけちゃうんだもんな。
隊長:
全部はご案内することはできませんでしたが、楽しんでいただけたようで何よりです。
茜:
よぉーし!
次のロケ地へ出発だー!
隊長:
残念ですが・・・。
里香:
どうしたの?
隊長:
・・・次に行く所で・・・、・・・最後なんです・・・。
茜・健一・里香・浩:
・・・え・・・?
隊長:
いよいよ最後のロケ地、千種公園に到着です。
健一・里香・浩:
・・・・・・。
茜:
おい、みんなそんな顔すんなよ。
ロケ地巡り、最後まで明るく行こうぜ。
せっかく隊長さんが案内してくれてんだから。
隊長:
茜ちゃん、ここで最後だなんて、
みんなに言わなければよかったですね・・・。
茜:
そんなことないったら。
いつか最後は来るんだからさ。
隊長:
まず、千種公園の地図を案内します。
健一:
お願いします。
隊長:
まあ、志賀公園と比べるとそれほど広くはありません。
ロケが行われたのは公園の南の方、この地図で言うと左上の方です。
浩:
・・・ここで、最後なんだよね?
茜:
そうだぞ、浩。
悲しみに負けず、最後まで楽しむのが男ってもんだ!
隊長:
それでは、行きましょうか・・・。
里香:
ここって・・・。
健一:
ファイナルで、新潟に帰る茜とお別れした場所ですよね?
隊長:
その通りです、健一くん。
里香:
隊長さん、せっかくだからロケ地の説明をお願い。
隊長:
私がここで説明することは・・・、何もありません・・・。
里香:
・・・え・・・?
隊長:
皆さんにはシリーズを通した様々な思い出があると思います。
浩:
・・・・・・。
隊長:
ラストシーンのロケ地ということで、だから・・・、だから今は思い出に浸って欲しいんです。
茜:
・・・・・・。
健一:
・・・・・・。
里香:
・・・・・・。
浩:
・・・・・・。
茜:
・・・5年間、色んなことがあったよな~。
浩:
そうそう、ロケバスの中でよくモノマネをしてたよね。
健一:
今思えば、みんな本当に仲が良かったです。
里香:
仲が悪いなんてありえなかったわよね。
茜:
ロケ先で地元の人に囲まれたのも今となってはいい思い出だよな。
健一:
ギャラリーの多さを見て、多くの人がキッズ・ウォーを見て、応援して、そして楽しみにしてくれているということを感じました。
茜:
撮影の時、ふざけすぎてよく怒られたよな。
真面目にやれー!なんてさ。
健一:
でも、それがキッズ・ウォーなんです。
浩:
他のドラマじゃありえない現場だっただろうね。
茜:
そのおかげで5年間いつも楽しくやって来られたわけだよな。
健一:
お互いに感謝しなくてはいけませんね。
浩、茜、里香、ありがとう。
茜:
まっ、当時みんなには色々世話になったな。
健一、浩、里香、ありがとな。
里香:
茜っていつまでたってもバカで能天気ね。
でも、本当にみんなには感謝してるわ。
お兄ちゃん、浩、茜、ありがとう。
浩:
僕、撮影での思い出絶対に忘れない!
僕たち、いつまでもきょうだいだもんね!
お兄ちゃん、茜、お姉ちゃん、ありがとう。
茜:
みんな、大切な人を忘れてないか?
健一:
そうでしたね!
里香:
そうよ!この人なしには・・・、
浩:
ロケ地は語れないよね!
茜・健一・里香・浩:
隊長さん、3日間どうもありがとう!!
隊長:
こちらこそ、ありがとうございました!
皆さんに会えて、こうして色々話ができて本当に、本当にうれしかったです。
茜:
なあ、せっかくだからここで写真撮ろうぜ!
オレ、最新式のiPhone買ったんだぜ~。
自撮り棒もあるし!
里香:
じゃあ、隊長さんを囲んで・・・、
浩:
合言葉はどうする?
茜:
やっぱりアレだよな!
健一:
そうですね!
茜:
キッズ・ウォー!
茜・健一・里香・浩・隊長:
ざけんなよ!!
(カシャッ!)
車掌:
次は上野~、上野~。
隊長:
なぁ~んだ。
東京どころか、上野にも着いてなかったのか~。
え~と、今何時だっけ?
まだ7時前か・・・。
車掌:
この電車の到着時刻のご案内をいたします。
上野には19時ちょうど、東京には19時8分、品川には19時20分、渋谷には19時32分の到着を予定しております。
隊長:
はっ?!
まだ朝の7時前でしょ?!
だって外は・・・。
って、オイ!!!!
何でこんなに暗いのさ?!
車掌:
なお、携帯電話、スマートフォンはマナーモードに切り替え、車内での通話はご遠慮ください。
隊長:
12時間近く山手線をグルグルしてたのか・・・。
待てよ・・・、記憶を呼び戻そう・・・。
隊長:
昨日、朝から夜までキッズ・ウォーを1シーズン分見てしまった・・・。
あー、超眠い・・・。
今日は朝早くから名古屋に行くというのに、あまり寝ないでこの時が来てしまった。
でも朝7時前の山手線で座れるなんてラッキー!
車掌:
次は上野~、上野~。
隊長:
東京駅まであと4駅か。
降りたら新幹線ホームに行って、7時半の博多行きに乗るんだったな。
そういえば、ロケ地巡りした時もこんな朝早い新幹線に乗って行ったっけ・・・。
隊長:
そっか、あの後うっかり寝ちゃったのか!
駅員:
東京~、東京~。
ご乗車ありがとうございました。品川・渋谷方面行き電車、この辺でドアを閉めさせていただきまーす
隊長:
あっ、降りなくちゃ!
降ります!降りまーす!!
隊長:
ふぅ~、ギリギリで降りられた。
予約してた新幹線行っちゃったし、
自由席にでも乗るかな・・・。
ん・・・?メール・・・?
自分のメールに1枚の写真が届いていた。
でも・・・、どうして・・・?
あれは夢だったはずでは・・・?
ふと顔を上げると、向かいのホームで、
自分に手を振っている4人がいた。
そして、その4人に大きく手を振り返した。
目の前をゆっくりと電車が通り過ぎると、
反対側のホームにいたはずの4人は、
もう・・・そこには・・・いなかった・・・。
今日は2019年8月2日。
あの物語がスタートしたのは、ちょうど20年前の今日のことです。
<おわり>
いかがでしたか?
探索隊長にとって今回のような物語を書くのは初めてです。
セリフの内容は、複数回のロケ地巡り、各種メディア、ドラマのストーリー、浩役の金澤匠さんへのインタビューを通して隊長が蓄積してきたキッズ・ウォーに関する知識をもとに考案しました。
そのため、読者の皆さんにとっては分かりにくい部分やありえないと思う場面があったかもしれません。
テレビドラマの人物と現実のロケ地の組み合わせは簡単そうに見えて意外と難しいものでした。
ドラマの登場人物である茜たちに、現実世界のロケ地を紹介している内容にしなければならなかったからです。
そもそも、なぜ物語を書こうかと思ったのか?
それは、浩役の金澤さんへのインタビューで金澤さんにロケ地の写真を見せた時、「オレも(ロケ地に)行ってみたいな~」という一言がきっかけです。
もし、茜たちがドラマの世界から出てきて、ロケ地を案内できたらどんな風になるんだろう?
インタビューの時にそう考えたことを今でも覚えています。
今回は2019年の名古屋を舞台にしました。
キッズ・ウォー放送開始からちょうど20年後です。
茜は大人になっても自分のこと「オレ」っていうのかな?
健一は敬語使ってるかな?
里香と茜はケンカするかな?
浩は食いしん坊かな?
掲載するロケ地の写真を見ながらセリフを考えている時、本当にワクワクしました。
実際にロケ地を見に名古屋に行ったとき、当時とは風景がまったく変わってしまった場所もありました。
それだけ、放送から年月が経っているということです。
年月の経過を読者の皆さんに少しでも感じてもらえればと思い、物語の中では「電子漫画」「自撮り棒」「iPhone」を登場させました。
キッズ・ウォー放送当時はどれも耳にしたことのない言葉だと思います。
物語を書いている時、タレントの志村けんさんがお亡くなりになったニュースが流れました。
そこで急きょ第7話で茜は志村けんさんが好きという設定を追加しました。
もちろん、ドラマではそんな設定はありませんでしたが、ドリフのコントが好きなのは茜がピッタリだと隊長は考えています。
ところで、複数の人が同時にセリフを言う時、
「茜・健一・里香・浩・隊長: ざけんなよ!!」
というように必ず隊長が最後に書いてあったことに気づきましたか?
この物語では茜・健一・里香・浩がメインキャストで、隊長は単なる案内役にすぎないからです。
そして、ラストシーンで隊長が見た「4人」は誰だと思いますか?
「4人と言えば!」と考える人もいると思います。
皆さんの中にもドラマを見て「会えたらいいなぁ」と一度は考えた人も少なくないでしょう。
その「会えたらいいなぁ」を最大限に感じられるよう物語のラストでは「4人」の名前をあえて書きませんでした。
最後になりますが、物語を読んでくださった読者の皆様には本当に感謝申し上げます。
この物語を通じて、キッズ・ウォーのロケ地のことを知り、興味を持ってくだされば幸いです。