(レンタカー車内)
隊長:
だいたい10分くらいで次のロケ地に到着します。
茜:
沼津と言えば魚。
へっへっへ。
浩:
突然変な笑いしないでよ!
隊長:
茜ちゃんのその笑い方は、お寿司を期待してますね!
茜:
あっ、バレちゃったか・・・。
健一:
せっかくですからお寿司でも食べませんか?
隊長:
そうしましょう!
そろそろお昼にしようと思ってたところなんですよ。
里香:
沼津港に行くとお店がたくさんありそうね。
隊長:
おっ、里香ちゃんさすが!
沼津港にはおいしいお店がたくさんありますよ。
深海魚のお寿司が食べられるお店とか。
浩:
ねえ、そのお店にしようよ!
茜:
ブ~クブ~クブク深海魚~♪
深い海からや~って来た~♪
里香:
その変な歌やめてよね!
「崖の上のポニョ」の替え歌なんでしょうけど、センスなさすぎ・・・
茜:
悪かったな、センスなくて!
ってか、どうしてお前はいちいち突っかかることを言うんだ?
里香:
ほんとのことを言ったまでじゃない!
茜:
あー、もう!
里香と一緒にいると頭痛くなる!
里香:
それはこっちのセリフよ!
健一:
ちょっと二人とも!
車の中でケンカしないでください!
隊長:
茜ちゃんと里香ちゃんのケンカの声を聴くと、自分がドラマを見ているかのようですね。
茜:
なんなら、もっと派手にケンカしたほうがいいよな?
よし里香、どっからでもかかってこい!
里香:
バッッッカみたい・・・。
浩:
ねえ、そろそろ港じゃない?
隊長:
そうですね。
そしたら、このあたりの駐車場に停めて市場の方に行きましょう!
(昼食後)
隊長:
深海魚が食べられる回転寿司なんて珍しかったですね。
里香:
色々な魚が食べられて大満足だっわ。
茜:
あ~、食った食ったぁ!
健一:
茜、一応女なんですから、そのおじさんみたいな言い方、いい加減直しませんか?
茜:
しょうがねぇだろ、自然と口から出ちゃうんだから。
それより、浩!
お前どんだけ寿司食べたんだ?
浩:
う~ん・・・。
10皿くらいかな?
茜:
嘘つけ!その倍は食べてたぞ。
ほんとお前は昔っから食べてばっかりだな。
隊長:
私も横で見てましたが、浩くん結構食べてましたよ。
浩:
だって、どれもこれもおいしくて食べるの止められなかったんだもん。
里香:
移動途中でお腹痛くなるんじゃないわよ。
茜:
あと、レンタカーの中でオナラは厳禁だからな!
健一:
浩ったらいつも肝心な時にオナラをして女の子に嫌われてましたからね。
茜:
浩、あきらめろ。
お前がオナラをする限り、女の子とは結ばれないぞ。
浩:
も~、いちいちうるさいなぁ。
健一:
隊長さん、そろそろ次のロケ地に行きませんか?
茜:
えっと・・・、次はどこだっけ?
里香:
海岸でしょ?
さっきのことをもう覚えていないなんて、あんたはニワトリね。
茜:
ニワトリなのは里香、お前だろ?!
ギャーギャー騒いで家の中がまるでニワトリ小屋だったじゃんか。
里香:
うるさい原因を作ってるのはあんたでしょ!
それに太陽学園の部屋でも散らかし放題でこっちは大迷惑だったわよ!
浩:
ねえ、お願いだから仲良くしてよ。
せっかく沼津に来たんだからさ。
隊長:
二人のケンカはやっぱりいつ見ても変わらないですね(笑)
健一:
ちょっと!
茜も里香もここに置いてきますよ!
あっ、すいません隊長さん、迷惑ばかりかけて・・・。
隊長:
いいんですよ。
せっかくなので、もう少し二人のケンカを見物しましょうか?
健一:
えっ?
浩:
隊長さん、それ本気?
隊長:
冗談ですよ。
そろそろ出発しましょう!
隊長:
到着しました!
ここが太陽学園の生徒が来ていた「我入道海岸」です。
里香:
きれいな眺めね~。
隊長:
今は人が少ないですが、季節になると海水浴客がたくさん来るみたいですよ。
浩:
こんなにきれいな場所だったのに瀬島先生ったらいつも怒鳴ってたよね。
茜:
あいつは生徒に怒鳴り散らすのが趣味だったからな。
健一:
規則で生徒を押さえつけて、今思えば瀬島先生の目を気にしながら僕たちよく生活できたもんですよ。
里香:
ねえ?
あそこに洞窟みたいのがあるけど・・・。
隊長:
浩くんとしのぶちゃんが話しているシーンがありましたね。
その時に使われた場所なんですよ。
浩:
思い出した!
あの場所でしのぶちゃんがキスしていいって言ってたんだ!
茜:
でも、浩がオナラをして・・・。
里香:
しのぶちゃんに嫌われちゃったのよね~。
茜:
ほんと浩はオナラで人生損してるよな~。
浩:
ちょっと中に入ってみようっと!
隊長:
あっ、浩くん!
今は崩落の恐れがあるのであまり近づかない方がいいですよ。
浩:
えっ?
里香:
ここにちゃんと看板が立ってるでしょ。
健一:
浩が当時と同じ場所にすわっている写真を撮ろうかと思ったんですが、少し離れた場所から見るだけにしておきましょう。
隊長:
ドラマと同じようにしたいからと言って、聖地巡礼で立入禁止の場所に入る人もいますけど、あれはルール違反ですよね。
茜:
そうだな、やっぱりルールはちゃんと守らないとな。
里香:
それ、あんたが言う言葉?
茜:
何だよ、どういう意味だよ?
里香:
別に。
浩:
ちなみに隊長さんって、この場所どうやって見つけたの?
隊長:
他のロケ地が駅の近くだったので、駅に近い海岸から順番に探していったらこの場所だってわかったんです。
結構簡単に見つかりましたよ。
茜:
ロケ地探しって結構大変そうなんだな。
隊長:
大変な時もありますけど、探していた場所を見つけた時の喜びは大きいですね。
健一:
ロケ地探しがまるで謎解きのようですね。
隊長:
私の知り合いで、ドラマに出てきた小道具と同じのをメルカリで探す人いますよ。
里香:
ちょっ、小道具まで探す人いるの!?
茜:
相当熱心な人としか思えない・・・。
隊長:
私、ロケ地は探せても小道具は探せないなぁ~。
浩:
小道具集めて、キッズ・ウォーと同じ部屋作れるんじゃない?
里香:
それ、あり得るわね!
茜:
今だったら「インスタ映え」しそうだよな。
健一:
そう言えば、茜ってインスタやってるんですか?
茜:
まあ、少々・・・。
里香:
顔に似合わないことするのやめなさいよね。
茜:
顔によってやっていいとか悪いとかあるのかよ?
そもそもお前には関係ないだろ、オレのアカウントなんだから。
隊長:
さて、そろそろ次の場所に移りましょうか!
浩:
そうだね!
健一:
隊長さん、引き続きよろしくお願いします。
隊長:
はい、任せてください!
(レンタカー車内)
茜:
隊長さん、周りにだいぶ住宅が増えて来たけど・・・。
隊長:
ここから先はしばらく住宅街を走ります。
今は走っているのも国道なんですけどね。
健一:
まあ、国道は全部が全部広い道路とは限りませんからね。
里香:
あとどのくらいで着くの?
隊長:
そろそろですね。
あっ、見えてきました!
ここが沼津に来て太陽学園のバスが止まった場所「江浦港」です。
浩:
この港にも僕たち来てたんだね。
茜:
こっそりバスを降りて、オレと翼で一也を探しに行ったのはここがスタートだったんだよな。
健一:
そういえば、文太君は先生に見つかってバスの中に戻されてましたよね。
茜:
あいつ、財布忘れたとか言ってバスに戻ってさ、うっかりしてたんだろうな。
里香:
それにしても、翼くんはよくここに来るまで先生に見つからずに済んだわよね。
茜:
翼は一番後ろの席に積んである荷物の山に隠れてたからな。
浩:
バスの中も結構楽しかったよね。
健一:
トランプをしている人もいたり、仲の良い友達としゃべっている人もいたり、みんな楽しんでましたよね。
茜:
浩はお菓子バクバク食べてたよな?
浩:
えっ?
そうだったっけ?
里香:
合宿の前日に大きなカールの袋を買って来たのは誰だったかしら?
浩:
あ~、そんなこともあったあった!
健一:
おばあちゃんにカール見つかったら絶対怒られてましたね。
茜:
おばあちゃん学歴主義だったからさ、見つかっても「受験に受カ~ルために買った」とか言えば許してくれたんじゃない?(笑)
里香:
何バカなこと言ってんだか・・・。
隊長:
あと、バスの中で浩くんとしのぶちゃん、イイ感じでしたよ(笑)
里香:
ちょっと浩、あんたカール食べた手でそのまましのぶちゃんの手とか握ってないでしょうね?!
浩:
僕、そんなことしないよ!
隊長:
いや~、こうやって当時の話で盛り上がっている皆さんの姿を見ると、ロケ地をご案内できて本当によかったですよ。
健一:
昔来た場所に来ると、思い出って不思議とよみがえるんですね。
里香:
そうね、すごく不思議よね。
茜:
そろそろ、次の場所に行こうぜ。
隊長:
それでは皆さん、車に戻りましょう。
(レンタカー車内)
里香:
海ってやっぱりきれいね~。
健一:
隊長さん、この先も海岸沿いに進むんですか?
隊長:
はい。
ここから最後のロケ地までずっと海岸沿いを進みます。
茜:
いろんな所に船が泊まってて、漁業の町って感じするよな。
浩:
東京は電車やバス、お店も多くて便利だけど、こういう自然がたくさんある町って大好き。
茜:
そうだ、オレこれから漁師になろうかな?
里香:
ぜひそうしてほしいわ。
マグロ漁船にでも乗って遠くの方へ行ってらっしゃ~い。
茜:
それって、オレと会いたくないって意味か?
里香:
あら?
そんなこと言ってないわよ。
茜:
お前が言うとなんか違う意味に聞こえるんだよな。
隊長:
お待たせしました、到着です。
ここが皆さんが干物づくりをしていた「内浦港」です。
浩:
僕、この場所覚えてる!
ここで漁協の人に干物の作り方を教えてもらったんだよね。
茜:
オレは干物よりも翼が一也を見つけられたか心配で仕方なかったぜ。
里香:
一也くんが見つかったかより、翼の方が心配だったんじゃないのかしら?
茜:
どっちも心配だったに決まってんだろ!
ってか、お前の方こそ翼より一也の方が心配だったんじゃないのか?
里香:
そんなんじゃないわよ!
隊長:
まあまあ、茜ちゃんも里香ちゃんも落ち着いて・・・。
健一:
それにしても、海も山も見えていい景色ですよね。
浩:
魚もおいしいし、いつかこういう町に住んでみたいな。
茜:
浩は食べ物で住む場所を決めてるんじゃないのか?
浩:
別にそういうわけじゃ・・・。
里香:
ねえ?
向こうの方に鳥居が見えるけど。
隊長:
この奥に小さい神社があるんです。
茜:
神社?
浩:
行ってみようよ!
隊長:
この神社の前で茜ちゃん、里香ちゃん、浩くん、文太君が話をしているシーンがありましたね。
健一:
やっぱりみんな、干物づくりよりも気になってることがあったんですね。
僕はあの合宿で干物づくりをマスターしましたね。
里香:
お兄ちゃんたらマスターしたなんて大げさなんだから。
茜:
それにしても、干物の作り方がどうとかで瀬島もうるさかったよな~。
浩:
せっかく漁協の人が来てくれたんだから、プロに任せればいいのにね。
茜:
生徒に常に何か言っていたかったんだろ。
そういうヤツだよ、アイツは。
里香:
あーっ、そう言えば!
健一:
どうしたんですか?
急に大きな声出して。
茜:
そうだよ里香、びっくりさせんなよ。
里香:
一也くんのお母さんって沼津に来てたわよね?
茜:
来てた来てた!
隊長:
それでは、その一也くんのお母さんが来た場所に行ってみましょう!
隊長:
ここが翼くんと一也くんのお母さんが来ていた場所です。
茜ちゃんと里香ちゃんが文太君と一緒にここにいましたよね。
里香:
あの時、一也くんのお母さんってタクシーで来てたわよね。
駅から相当タクシー代かかったんじゃない?
健一:
それだけ自分の息子に会いたかったってことですよ。
茜:
翼と一也にマフラー編んであげてさ、やっぱりお母さんっていいよな。
里香:
一也くんも翼くんも帰り間際にすごくうれしそうな顔してたのよく覚えてるわ。
浩:
僕たちのお母さん、どっちも本当にいい人だったよね?
健一:
ええ、勉強を教えてくれたり、いじめから僕たちを守ってくれたり。
里香:
・・・・・・。
茜:
何か言いたそうなやつが一人いるけど。
里香:
・・・別に何でもないわよ・・・。
茜:
まあ、翼の家も色々大変だったろうけど、何とか落ち着いたってとこだったな。
浩:
ねえ?
向こうに見えるのって、さっき僕たちがいた所じゃない?
神社の赤い鳥居が見える!
隊長:
浩くん、よく気が付きましたね!
この場所は皆さんが干物づくりをしていた漁港と海を挟んでちょうど反対側なんです。
茜:
ということは、この場所も内浦港ってわけだな。
隊長:
その通りです!
茜ちゃん、頭がさえてきましたね!
茜:
さっきのお寿司が効いてきたな、ハハハ。
やっぱり魚を食べると頭がよくなるな!
里香:
残念ながらそれはないわね。
茜:
どうしてだよ?
里香:
あんたがそれを証明してるじゃない。
練馬に住んでた時に食卓に魚がよく並んでたけど、茜は全然成績上がらなかったじゃない。
茜:
あのな、オレは頭はいいけど、学校にいると疲れるからテストの時間は半分休憩してたんだ!
里香:
何バカなこと言ってんのよ!
テストの時間は休憩時間じゃないでしょ!
浩:
ほらほら、またそうやってケンカが始まるんだから。
健一:
今日だけで何回ケンカしてるんですか二人は。
あっ、隊長さんそろそろ次のロケ地を・・・。
隊長:
少し日が傾いてきましたね。
次が最後のロケ地ですが、楽しんでくださいね!
最終話へつづく・・・